2019年4月7日(日)
20年米大統領選へ 民主党候補論戦開始
医療保険・教育充実を
保守牙城テキサス州でオルーク氏
公教育の充実を求める教師のたたかいや国民皆保険制度を求める運動が続く中、2020年の米大統領選挙に向けた民主党候補による論戦が始まっています。歴史的に共和党が強く、保守の牙城といわれる南部テキサス州では、“進歩派”候補の1人、ベト・オルーク前下院議員が本格的なキャンペーンを始めました。(エルパソ=遠藤誠二 写真も)
|
「質の高い、国民皆医療保険制度を実現させる。だれもが医者にかかれ、処方箋を受け取り、必要な治療が受けられるように。一人も保険適用を拒否されない制度をつくる」
3月末、メキシコ国境の町エルパソの中心街。同地出身のオルーク前下院議員が数千人の聴衆を前に訴えました。オルーク氏は医療保険以外に、教員給与引き上げなど公教育予算充実、より入りやすい大学にむけた改革、気候変動対策、労働組合の強化、包括的な移民対策などを掲げます。
演壇や原稿なし
ノータイに腕まくりしたワイシャツ、演壇や原稿はなし。熱く語るオルーク氏に、「ベトを大統領に」などと書かれたプラカードを持った聴衆は大きな歓声でこたえました。
市内に住むメリー・ポルティーヨさん(68歳、女性)は「オバマ大統領やケネディ大統領を思い起こさせます。彼のいいところは、有権者の声をじっくりきくことです」。州都オースティンからきたジャッキーさん(25歳、女性)は「何より人を大切にする姿勢が好きです。医療保険や教育の充実はこの国で暮らす人々にとって本当に必要な政策です」と話します。
オルーク氏はエルパソ市議、下院議員を経て、昨年秋の中間選で上院に挑戦。テキサス州で現職のクルーズ候補を追い上げ、3ポイント差まで迫る大接戦となりました。
オルーク氏の集会の横では、共和党・トランプ大統領支持者が「反オルーク集会」を開きました。「急進的過ぎる政策」「社会主義者」などと攻撃するトランプ支持者ら。ある男性は「ベト」と書かれた文字の横に旧ソ連共産党のマークをあしらった旗を掲げました。
分断はやめよう
トランプ政権下で続く「分断」を象徴する光景を前にオルーク氏は訴えました。
「今の大統領は、恐怖と分断を使い、お互いに恐怖を抱かせている。われわれの間にある違いで分断することはやめよう。だれであるか以前に私たちはまず米国民だ」
民主党の候補者指名争いには15人以上が名乗りを上げています。サンダース上院議員をはじめ国民皆保険や富裕層増税などの進歩的政策を掲げる人が目立ちます。女性やマイノリティーなど多彩な顔触れがみられるのも特徴です。