2019年3月23日(土)
社会リポート
奈良県立高校削減計画
耐震化さぼり統廃合
反対署名が約4万人分
全国各地で高校再編の動きがある中、奈良県教育委員会が、県立高校の統廃合や再編を一方的に打ち出したことに、県民から多数の批判があがっています。伝統校である奈良高校と平城高校の統廃合計画には約4万人分の反対署名が集まっています。(井上拓大)
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統廃合計画は昨年6月に突然発表されました。▽現在33校ある県立高校を30校に減らす▽4高校の教育内容を再編▽定時制・通信制課程を見直す―という内容です。とりわけ、平城高校を閉校し、1924年開校の奈良高校を移転することに、生徒や保護者らの間で反対が広がっています。
平城高校の卒業生や保護者でつくる「奈良県立平城高等学校校友会」の鳥見浩憲会長は、こう指摘します。「県は長年奈良高校の耐震化をないがしろにしてきた。耐震化する代わりに、平城高を閉校し、その校舎に奈良高を移す計画だ」。同会は、統廃合計画に反対する署名活動をはじめ、計画の発表から2週間で2万人以上の反対署名が集まりました。
「地元密着校」
奈良県教委は統廃合・再編の理由を、生徒数が減少傾向にある中で、進路や通学条件、学科の適正な配置を考える必要があるからとしています。平城高校の閉校は「国も含め、普通科高校の見直しが行われている動きの中で出てきたことだ」と、普通科削減の意図を示しています。
鳥見氏は「署名では、『平城高校は魅力的な地元密着型の行事も多く、良い学校だからなくしてほしくない』との声を多数聞いた。行政は少子化問題を第一の理由とするが、子どもたちが減るならばクラス数の調整で対応すべきだ」と語ります。
極端に少ない
文部科学省の「平成29年度学校基本調査」によると、奈良県の公立高校数は県立・市立などを合わせて37校です。人口規模が同等の岩手県の67校、沖縄県の60校と比べても大幅に少なくなっています。
奈良県教職員組合の吉本憲司執行委員長は「貧困化で、公立高校が果たすべき役割があるのに、なぜ減らすのか」と言います。普通科の削減については、「18歳の主権者教育が求められている中で、国民教養として普通科高校の存在は重要で、選択肢を少なくしていることが許せない」と話しました。
奈良高校の危険な校舎の使用停止を求めている弁護士の松田真紀さんはこう語ります。「奈良高校の人たちは地域に思い入れがあり、あくまで現地建て替え、今の校舎の耐震化を望んでいます。平城高校関係者の恨みを買うような乗っ取りのような移転も望んでいません」
日本共産党が撤回へ全力
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日本共産党は、計画が発表された昨年6月の奈良県議会で、宮本次郎県議が計画の撤回を要求するなど、反対の立場を貫き論戦をリード。署名運動にも協力してきました。
国会では衆院予算委員会(2月27日)で、宮本岳志議員が、奈良高校校長が「生徒の命に関わること」だと耐震化を繰り返し求めていたにもかかわらず、県教委が学校適正化配置を理由に取り合わなかったことを記録した文書を示し、「耐震化より統廃合を優先するのが文部科学省の方針か」と追及しました。
奈良県知事選挙で日本共産党奈良県委員会が自主的支援をしている前川きよしげ候補は高校削減計画の見直しを掲げています。
宮本次郎県議の話 高校削減計画の背景に、教育予算の抑制や公共施設を減らす総務省の指針、財界の要請する「人材づくり」と称しての普通科を改変・削減する流れがあります。県議会で必ず現有議席を伸ばし、計画の撤回を勝ち取りたい。
日本共産党の統一地方選挙政策から
「一方的な学校統廃合に反対し、住民合意で小規模校を残すとりくみを支援します」