2019年3月21日(木)
不公平税制に風穴開けた 大門氏の“グラフ”と追及
「著作権を登録しておけばよかった」。19日の参院財政金融委員会で日本共産党の大門実紀史議員のジョークに、与野党議員の多くが爆笑し、拍手を送りました。
大門氏が、最初に2008年3月14日の参院予算委で出したと主張したのは、年間所得が1億円を超えると税負担率が下がる不公平税制を示すグラフ。いまでは経済同友会の意見書や経済協力開発機構(OECD)の対日経済審査報告書でも使われ、この日の委員会では他党議員から財務省提出資料として示されました。
「なぜ1億円を超えると税負担率が下がるのか」とグラフでただした大門氏に、歴代財務相は「分からない」と答えただけでしたが、麻生内閣の与謝野馨財務相がついに金融所得課税のあり方に問題があると認めたと大門氏。財務省が高額所得者の統計資料を出さなければつくれなかったグラフだとして、「証券税制10%は上げなければいけないというスタンスだったのでは」と“本音”をただした同氏に、星野次彦主税局長は、国税庁と相談してまとめた資料だと明かし、“本音”も否定しませんでした。
長年の追及の結果、金融所得課税は20%に引き上げられましたが、1億円超の高額所得者の税負担率が低い傾向は変わりません。しかし、政府・与党が税制の不公平さを認めるまでに風穴を開けた成果は、大門氏のグラフと、諦めずに追及し続けた姿勢と切り離すことはできません。(信)