2019年3月14日(木)
子ども・子育て支援法改定案に対する塩川議員の質問
衆院本会議
日本共産党の塩川鉄也議員が12日の衆院本会議で行った「子ども・子育て支援法」改定案に対する質問の要旨は次の通りです。
安倍総理は2017年9月、「幼児教育の無償化を一気に進める」と打ち出し、財源に消費税増税分を活用するとして解散・総選挙の口実としました。総理も認めたように消費税は所得が低いほど負担が重い「逆進性」をもつ税です。国が「子育て世帯を応援」するのに、なぜ逆進性を持つ消費税を財源にしなければならないのか。
総理は幼児教育無償化に加え軽減税率で「逆進性を緩和できる」と答弁しました。保育料はすでに所得に応じて段階的になっており、住民税非課税のひとり親世帯などは免除されています。このような世帯は消費税増税分が重くのしかかるだけで恩恵はありません。切実な教育・子育ての願いを逆手にとって消費税増税を押し付けるのはやめるべきです。
今回の「無償化」措置は、保育の方向性を根本からゆがめる問題が潜んでいます。
第一に、保育は「安心・安全」に利用できることが大前提でなければなりません。しかし経過措置の5年間、国の基準を下回る施設も「無償化」対象としています。保育士が1人もいない施設に国が保育施設として一定の“お墨付き”を与えることになるのではありませんか。
保護者や保育関係者の願いは「安心・安全の保育」です。「安心・安全の保育」と「無償化」を一体で進めなければ、保育制度はさらにゆがみを生じ、現場に混乱をもたらすのではありませんか。
第二に、私立保育所には国が2分の1を補助しますが、公立は100%市町村負担です。公立を多く抱える市町村ほど負担が増え、公立保育所の廃止・民営化を加速させます。
2000年の企業参入解禁以降、政府は04年に公立保育所運営費への国庫負担金を廃止して一般財源化などを行い、これで20年間で公立保育所は3割も減りました。これでは自治体が責任を負う公的保育制度をさらに後退させるだけです。
第三に、「無償化」の範囲を0~2歳児では一部に限定したのはなぜか。また、「給食費」などの保護者負担は残しているが、給食は保育の一環で、公費負担すべきです。保育施設の現場では、利用者への説明、未納分立て替え問題など強い懸念の声が上がっています。
待機児童問題はますます深刻です。安倍政権が進めてきた待機児童対策は保育士配置基準緩和、企業主導型保育事業拡大などの規制緩和策です。
企業主導型保育事業は、保育士のいっせい退職や定員割れによる閉園、助成金の不正受給など相次いで問題が発生。政府調査でも約75%が基準違反なのに、企業主導型を増やし続けるのですか。
待機児童解消のためには認可保育所の増設、保育士の処遇改善が必要です。
保育の仕事は、子どもの育ちを見通し、その成長と発達を援助するという専門性が必要ですが、給与は労働者全体より月額7万円も低く、過密労働や長時間残業です。保育士配置基準の抜本改善と大幅賃上げが必要です。
すべての子が豊かな保育、幼児教育を受けられる体制を整えることと一体に、保育、幼児教育の無償化を図ることを求めます。