2019年3月13日(水)
将来の軍事費先取り
宮本徹議員反対 「兵器爆買い法案」可決
「兵器爆買い法案」と言われる防衛調達措置法改定案が12日、衆院本会議で自民党、公明党、維新の会などの賛成多数で可決されました。日本共産党、立憲民主党、国民民主党、社会民主党は反対しました。
同法案は、財政法で5年以内とされている国庫債務行為を航空機や艦船などの防衛調達については10年まで可能とするもの。今回の改定で特措法の期限を5年間延長します。
反対討論に立った日本共産党の宮本徹議員は、国庫債務行為の年限を延長し、将来の軍事費を先取りすることは、国会の予算審議権を侵害し、憲法の定める財政民主主義に反すると批判。長期契約で兵器調達に伴う後年度負担が急増し、補正予算へのつけ回しが常態化していることを指摘し、「国民生活の関連予算を圧迫している」と強調しました。
解説
予算圧迫、負担は国民に
12日の衆院本会議で、3月末に失効する防衛調達特別措置法(長期契約法)の期限を延長する改定案が自民党などの賛成多数で可決し、参院に送られました。同法は、まとめ買いした高額兵器代金の支払期間を、財政法が定める5年間から最長10年間に引き延ばすものです。
日本の財政は、予算単年度主義を原則にしていますが、高額兵器購入の際に例外として、単年度予算で支払いきれない分をローンとして次年度以降に先送りすることを認めています。これは、ツケ払いを増大させ、将来の予算での支出が予定された経費が膨らみ予算の内容を縛ることになるため、「財政の硬直化」をいっそう招きます。それにより、生活に関する予算が圧迫されるなど、負担が国民にはねかえる危険が拡大します。
また、支払いを延ばすことで、1年ごとに支払う金額を減らし、浮いた分を、他の兵器購入の“原資”とすることができます。
防衛省は、同法の目的を「調達コストを縮減する」としています。しかし、軍事費予算は5年連続で過去最高を更新し、2019~23年度の武器調達計画を示す「中期防衛力整備計画」は、5年間の軍事費総額を27兆4700億円として、前中期防から2兆8000億円増額しています。
「コスト縮減」分で別の兵器の購入にあてたり数量を増やしたりすることができるため、予算額全体の削減には全くつながっていません。
安倍政権が昨年12月に閣議決定した「防衛計画の大綱」は、軍事力強化について「従来とは抜本的に異なる速度」で行うとしています。同法は、ローンの返済方法を変えることで兵器の爆買いをしやすくし、大綱で掲げた大軍拡路線をいっそう加速させる仕組みになっています。
(柳沢哲哉)