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2019年2月19日(火)

運用停止期限すぎても普天間返らず

県民投票で審判下そう

辺野古新基地は不可能

 米海兵隊普天間基地(沖縄県宜野湾市)の「運用停止」期限の目安とされていた2019年2月18日が経過しました。しかし、「運用停止」どころか、現在の日米合意の下では、普天間基地返還は不可能であることが誰の目にも明らかになってきました。


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(写真)埋め立て工事が進む名護市辺野古沿岸部。写真右側の大浦湾側に軟弱地盤が存在しており、工事は全く進んでいない=12日午前、沖縄県名護市(小型無人機で撮影)

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 日米両政府が普天間返還で最初に合意したのは23年前の1996年4月でした。ところが返還期限は「2001年」→「14年」→「22年度」とずれこみ、今や工期も返還時期も明示できない状態に。公共事業としては完全に破綻です。(表)

 その最大の要因は、名護市辺野古への「移設」=新基地建設が条件になっているからです。辺野古新基地は圧倒的多数の県民の反対に加え、工法や位置などをめぐる政府内の迷走により、工事が大幅に遅れてきました。

 さらに決定的な打撃が、埋め立て区域北側(大浦湾)での広大な軟弱地盤の存在です。

 防衛省沖縄防衛局の報告書によれば、軟弱地盤の深度は70メートル以上、最深で90メートルに達します。同省によれば、(1)地盤改良に関する国内の実績は深度65メートル、海外でも70メートル(2)想定している工法で施工する作業船の最大深度は70メートル―です。現状では大浦湾での地盤改良は不可能なのです。

 そもそも、政府が地盤改良のための設計変更申請を出しても、沖縄県の玉城デニー知事が承認することはありえず、法的・政治的にも新基地建設は不可能です。

 それでも工事を強行すれば、辺野古は沈下し続ける基地となり、米国防総省が「普天間代替施設」として認証するか見通せません。

 また、沖縄県は新基地建設について「工期13年、総工費2・5兆円」との試算を出しましたが、この試算は地盤改良で使用する杭(くい)の打設2万本を前提にしたものです。しかし、実際には7・7万本必要とされており、工期も費用も大幅に膨らむことは明らかです。

 このままでは、現在着手している工区(地図)だけを埋め立てて貴重な自然を破壊するだけで終わり、普天間は返らず、国民は何兆円もの建設費を負担させられる―。まさに破滅の道です。

 24日投票の、辺野古埋め立ての賛否を問う沖縄県民投票が高い投票率で成立し、圧倒的多数の反対を示すことが、破滅を避ける大きな力になります。

米軍はこのままでは手放さない

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(写真)米海兵隊普天間基地=沖縄県宜野湾市

 普天間基地に関するもう一つの重大な問題は、仮に辺野古新基地が完成しても、返還される保証は全くない―という現実です。

 2013年4月の在沖縄米軍基地の統合計画では、辺野古新基地だけでなく、八つの「返還条件」をあげました。中でも重大な問題が「長い滑走路を用いた活動のための緊急時における民間空港の使用」です。

 辺野古新基地の滑走路は1800メートルで、普天間の2700メートルより短いため、長い滑走路を必要とする戦闘機や大型輸送機などの運用が困難となります。

 普天間に配備されているのは短い滑走路で運用可能なヘリ部隊ですが、他の基地から戦闘機などが頻繁に飛来しています。さらに、米空軍嘉手納基地(沖縄県嘉手納町など)では5年に1回程度、滑走路の大幅改修が行われ、そのたびに普天間への進路変更が行われています。今年1月は普天間への外来機の飛来が調査開始以来、最高になりました。

 このため、米側は第2滑走路が建設されている那覇空港の使用を狙っていますが、沖縄県は断固拒否。同空港の「米軍基地化」が実現されなければ、辺野古新基地がどうなろうと普天間は返還されない危険があります。「即時運用停止・無条件返還」こそ、普天間基地問題解決の「唯一の選択肢」です。


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