2019年2月7日(木)
分断の「壁」固執
トランプ氏「団結」訴えの一方
一般教書
【ワシントン=遠藤誠二】トランプ米大統領は5日、連邦議会で就任後2度目となる一般教書演説を行いました。1時間22分にも及んだ演説では、分断政策の象徴となっているメキシコ国境の壁建設に固執する姿勢を見せました。また、壁建設予算をめぐり昨年末から続いた政府機関閉鎖への自身の責任には触れず、共和・民主両党が政策課題にむけ団結してとりくむことを要求しました。
トランプ氏は「今夜、私が打ち出す政策課題は共和党のものでも民主党のものでもない。アメリカ国民の政策課題だ」と強調。「古い対立を修復し、古傷を癒やし、新しい連合を築き、新しい解決策をつくりだし、アメリカの未来の素晴らしい見通しを切り開くことができる」などと美辞麗句を並べたて、党派を超えての政策実行を訴えました。
その上でトランプ氏は「大規模で組織化されたキャラバンが米国にむかって行進している」「南部国境での無法状態は、すべての米国民の安全、治安、財政的健全性にとって脅威だ」と説明。不法移民の取り締まりを目的としたメキシコ国境の警備強化が必要だと強調し、「適切な壁はいまだ築かれない。私が築く」と述べました。自身が提示してきた壁建設予算57億ドルについては言及しませんでした。
トランプ氏はまた、「米国のエネルギーに革命を起こした。米国は世界ナンバーワンの石油、天然ガス生産国だ」と述べ、環境を破壊するエネルギー政策推進を誇らしげに語る一方、環境保護政策については一言も触れませんでした。
米国の経済発展を阻害するのは、「おろかな戦争、政治、もしくはばかげた党派心があらわな捜査だ」と述べ、モラー特別検察官による自身のロシア疑惑の捜査を批判しました。