2019年2月7日(木)
小野寺氏“徴用工解決済み”主張
韓国政府を批判し対立あおる
歴史ごまかす
4日の衆院予算委員会で自民党の小野寺五典議員・前防衛相は、韓国の元徴用工の新日鉄住金に対する賠償請求を認めた韓国の大法院判決とこれをめぐる文在寅政権の対応をめぐり「承服できない判決が出された」「今もし韓国と同じように日本の中でこの請求権が出てきた場合、大変なことになる。こういう泥仕合はやめましょうということで日韓請求権協定がある」などと述べ韓国側の対応を“批判”しました。
小野寺氏は、請求権協定について「賠償金ともいえる資金協力を出した」と主張。戦後、朝鮮半島から日本の民間人が避難する際に「莫大(ばくだい)な資産を朝鮮半島に残し、全て放棄した」などと述べました。
安倍晋三首相は、「旧朝鮮半島出身労働者の問題をはじめ、これまで日韓両国が築きあげてきた関係を、前提すら否定するような動きが出ていることは大変遺憾だ」と述べました。
韓国艦船による自衛隊機へのレーダー照射問題も含むやり取りですが、元徴用工問題に関する小野寺氏の主張には看過できないごまかしが含まれています。
そもそも日韓請求権協定に基づき日本が韓国に支払ったのは「経済協力」資金であり「賠償金」とはされていません。協定締結当時、日本政府が植民地支配の不法性を一切認めていなかったのに「賠償金」と強弁するのも筋が通りません。「賠償金」だというなら、小野寺氏は植民地支配の不法性を認めるとでもいうのでしょうか。
重要なことは、日本政府が従来日韓請求権協定によって「個人の請求権そのものを国内法的な意味で消滅させたものではない」としてきたことです。河野太郎外相も昨年11月、日本共産党の穀田恵二議員の衆院外務委員会での質問に対し、その旨を明確に答弁しています。
また小野寺氏は、旧植民地に残した日本人の財産を「日韓請求権協定で全て放棄した」などとも述べ、韓国の主張が不当であるかのようにも言いました。しかし、朝鮮半島に残された植民地支配下の日本人財産は、サンフランシスコ講和条約4条(1951年)で、米軍政府が処理(接収処分)することを、何より日本政府自身が承認していました。