2019年2月6日(水)
主張
辺野古新基地建設
過去に例ない無謀工事やめよ
沖縄県の米軍普天間基地(宜野湾市)に代わる名護市辺野古の新基地建設で、防衛省沖縄防衛局が軟弱地盤の広がる大浦湾の埋め立て予定海域に約6万本の杭(くい)を打ち、地盤強化を図る工法を検討していることが本紙報道(3日付)などで判明しています。杭を打ち込む深さは海面から最大70メートルに及び、専門家は「過去に例のない難工事」だと指摘しています。5日の衆院予算委員会で日本共産党の赤嶺政賢議員が追及したように、辺野古・大浦湾の貴重な自然環境に取り返しのつかない影響を与えるだけでなく、工期も莫大(ばくだい)な時間がかかるのは避けられません。
6万本の砂杭打ち込む
大浦湾(辺野古の東側海域)にある埋め立て予定海域の軟弱地盤をめぐっては、安倍晋三首相が1月31日の衆院本会議で、地盤改良とそのための工事の設計変更が必要であることを初めて認めました(日本共産党・志位和夫委員長の代表質問への答弁)。ところが、防衛省は、追加で実施してきた地盤調査の結果や、具体的に検討している地盤改良の工法や区域については公表を拒んでいます。
今回、本紙報道で判明した工法は、地中に打ったパイプに砂などを流し込んで造る砂杭で地盤を強化するというものです。大浦湾側の埋め立て区域に約2万本、この区域を囲むためコンクリート製の巨大ケーソン(箱)を投下して建設する護岸部分に約4万本が必要と試算されています。
大浦湾側の護岸部分にマヨネーズ状の超軟弱地盤が広がっていることは、昨年3月に赤嶺議員らが入手した沖縄防衛局の地質調査報告書に示されていました。報告書は2016年3月にまとめられていましたが、安倍首相が今年1月末に認めるまで隠し続け、辺野古の南側海域で土砂の投入を強行するなど新基地建設の既成事実化を進めてきました。
首相も認めたように、軟弱地盤の改良には埋め立て工事の設計変更が必要であり、県知事の承認を受けなければなりません。玉城デニー知事は新基地建設阻止の意志を繰り返し表明しており、埋め立て工事は必ず頓挫します。それにもかかわらず、軟弱地盤の存在を3年近く認めず、既成事実を先行させて県民の諦めを誘い、設計変更に着手しようというのは、あまりにも卑劣です。
沖縄県は昨年8月、大浦湾の軟弱地盤の存在などを理由に、辺野古沿岸の埋め立て承認を撤回しました。これに対し、防衛省は、国民の権利救済が目的の行政不服審査制度を乱用し、承認撤回の取り消しを求める審査請求を国土交通大臣に行い、地盤改良の工法なども国交省には示しています。防衛省はこの「審査請求の最中」(岩屋毅防衛相)であることを公表できない理由にしています。しかし、国交省に示すことができて県民には明らかにできないというのは、理不尽極まりません。
県民投票の結果尊重を
安倍政権は、新基地は決して造れないという事実を受け入れ、普天間基地の閉鎖・撤去を求めて米政府と交渉すべきです。今、政府がなすべきことは、無法な工事の即刻中止です。少なくとも、辺野古埋め立ての賛否を問う沖縄県民投票(今月24日)前に工事の全体像を明らかにし、その結果を尊重することを約束すべきです。