2019年1月30日(水)
第三者調査 実は「身内」
賃金構造基本調査でも
統計不正 底なし
毎月勤労統計の不正調査問題で、厚生労働省が組織的隠蔽(いんぺい)を否定する根拠としていた、外部有識者らでつくる特別監察委員会の報告(22日)の中立性が29日、完全に崩壊しました。厚労省はこれまで課長級以上20人のヒアリングは外部委員が担当したと答弁していましたが、同日、半数近い8人は身内の同省職員のみで行っていたと訂正しました。
また、厚労省は前身の監察チームを含め、課長補佐級以下を合わせたヒアリング対象者37人のうち7割近い25人が同省職員のみの聴取だったとも明かしました。根本匠厚労相は同日の会見で「誤った答弁があった。大変遺憾だ」などと話しました。
同省事務方ナンバー2の宮川晃厚労審議官が監察委の聴取に同席し、質問していた事例があることも28日以降判明。同省ナンバー3で人事担当の定塚由美子官房長も元部局長級の5人の聴取に参加していました。
内部の幹部職員が参加すれば聴取結果への影響は避けられません。根本氏は「結果として第三者性への疑念を生じさせてしまった」と述べました。
さらに、毎月勤労統計の2004~11年の数値について再集計を断念する方向で調整に入りました。紛失している必要な資料が発見されていないためだとし、推計による修正を検討します。
28日には、同省が所管する賃金構造基本統計でも不正調査があったことが発覚。
同統計は主要産業の賃金実態を雇用や就業の形態、職種などに応じて調べる内容で、年1回実施。最低賃金の決定や労災保険の給付額を算定する資料として使われています。
調査票の配布・回収方法について、本来なら対面で行うことになっていたのに、実際には郵送で実施。さらに調査対象の宿泊業・飲食サービス業からバーなどを外していました。回答期限も調査計画で定めた期間より短く設定していたといいます。
56の基幹統計のうち不適切事例が判明したのは23統計に拡大。不正は底なしの様相で、安倍政権の下で行政に対する信頼が大きく揺らいでいます。