2019年1月17日(木)
EU離脱案 大差で否決
英下院 労働党は内閣不信任案
【ロンドン=伊藤寿庸】英下院は15日、メイ政権が欧州連合(EU)と合意したEU離脱協定案を反対432、賛成202の圧倒的大差で否決しました。野党労働党のコービン党首は、直ちに内閣不信任案を提出。不信任案の審議・採決は16日に行われます。
協定案の採決では、保守党議員の3分の1以上の118人が反対。閣外協力する北アイルランドの地方政党・民主統一党(DUP)も反対しました。英メディアは首相提案がこれほどの大差で否決されたのは1924年以来と報じました。
コービン氏は、メイ政権は、経済界や労働組合の意見を無視し、野党との対話を拒否してきたと批判。同政権がEUとの新たな交渉を行うことは認められないと述べました。
保守党内で協定案に反対した強硬離脱派やDUPは、労働党左派のコービン氏による政権奪取につながりかねない総選挙を避けるため、メイ首相支持を表明。スコットランド民族党(SNP)は不信任を支持するとしています。
メイ首相は、議会が受け入れ可能な離脱協定について、与野党の枠を超えて有力議員と協議し、その合意をもとにEUと協議すると述べました。首相は下院での決議に基づき3日以内に代案を議会に提示しなければならず、21日に代案の提示を行うとしています。
労働党は、離脱期限の3月29日の「合意なし」離脱を回避するとともに、EUとの恒久的な関税同盟、人権保障などの継続を盛り込んだ協定にすべきだと提案しています。EU側は、協定案の修正には応じられないとする立場を崩していません。事態打開の展望は見えておらず、EUとの取り決めのない「合意なき離脱」が現実味を帯びてきました。