2019年1月14日(月)
家族から逃れ難民申請 18歳サウジ女性 カナダ到着
男性後見人制度に批判高まる
帰国すれば家族に殺されると訴え、タイで国連機関に難民と認定されたサウジアラビアの18歳の女性が12日、カナダ・トロントの空港に到着し、同国に難民として受け入れられました。ロイター通信が報じました。女性の旅行などに父や夫、兄弟らの許可を必要とするサウジの「男性後見人制度」に改めて国際的な批判の目が向けられています。(山崎伸治)
サウジ在住のラハフ・ムハンマド・クヌンさんは5日、家族と訪問していたクウェートから1人で、タイのバンコクに到着。そこからオーストラリアへ渡り、難民申請をするつもりでした。
ところがタイ当局はビザ(査証)に不備があるとして、クウェートへ強制送還すると通告。クヌンさんは6日夜、空港内のホテルに立てこもり、その様子をツイッターで明らかにしました。ロイター通信に「家族は私を殺すつもりだ。命の危険にさらされている」と表明しました。
国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の代表が7日、タイ当局と協議し、送還しないことを確認。クヌンさんはタイへの入国を認められ、UNHCRが難民認定の手続きを進めると表明しました。
8日には父親と兄がバンコクを訪れましたが、面会を拒否。クヌンさんは「家に何カ月も閉じ込められている。殺すと脅され、学校に行かせてくれない」「車の運転も旅行もさせてくれない」「前途洋々なのに、家族は生活をじゃましている」と、難民申請の理由をロイター通信に語りました。
UNHCRは9日、オーストラリア政府に受け入れを要請。その後カナダに打診したところ、同国のトルドー首相が11日、受け入れを表明しました。
クヌンさんは12日、空路トロントに到着。空港ではフリーランド外相が出迎え、クヌンさんを「とても勇敢な新しいカナダ国民」と称賛しました。
クヌンさんの行動をめぐり、ソーシャルメディアでは改めて、サウジの男性後見人制度への批判が強まっています。サウジでは先週、「後見人制度をやめなければ、だれも移住できない」という言い回しがツイッターで「トレンド」(人気の言葉)入りしました。
サウジでは2016年、後見人制度の廃止を求める署名運動があり、一定の成果を挙げましたが、女性の社会進出は大きく制限されています。