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2019年1月7日(月)

米19州最賃UP

運動発祥NYは15ドル実現

 【ワシントン=遠藤誠二】1月1日から全米50州のうち19州で最低賃金が上がりました(一部は前日12月31日実施)。賃上げの対象は530万人に及びます。今月以降も年内に2州と首都ワシントンで引き上げが予定されています。連邦レベルでの最賃引き上げの法制化が暗礁に乗り上げるなか、時給15ドル(約1600円)を目指す団体「ファイト・フォー15ダラーズ」や各地の労働者・市民が、議会への働き掛けや住民投票によって勝ち取りました。


表

 民間シンクタンク「経済政策研究所」(EPI)によると、各州で年平均90ドル~1300ドル(約1万円~約14万円)の賃上げにつながります。19州のうち5州が法制化によって、6州が住民投票によって引き上げを実現。残り8州はインフレ率の上昇に合わせた引き上げです。

 このほかミシガン州で4月1日から、オレゴン州とワシントン特別区で7月1日から最賃が上がります。ワシントン特別区は2020年には時給15ドルとなります。

 特に注目されているのが最賃15ドルへの引き上げを掲げた運動の発祥地、ニューヨークでの時給15ドル実施です。

 12年秋にニューヨークのファストフード店の労働者らが賃上げを求めてストライキに入ったことがきっかけになって、時給15ドルを求める運動が全米に拡大、「ファイト・フォー15ダラーズ」の結成につながりました。16年にはニューヨークとカリフォルニアの両州で最賃時給を段階的に15ドルに引き上げる法律が成立するなど、州や市レベル、企業レベルで最賃引き上げを勝ち取ってきました。

 ニューヨーク・タイムズ紙(電子版、18年12月31日付)は「不可能に思えた15ドルが今では多くのニューヨーカーにとって現実となった」と報じました。

 「ファイト・フォー15ダラーズ」は「ニューヨークでの最賃15ドル実現は、われわれの運動の勝利だ」と強調。全米で2200万の労働者が680億ドル(約7兆3000億円)の賃上げを実現させたとして、「すべての労働者が時給15ドルを勝ち取るまで、組織し、行進し、たたかい続けよう」と呼び掛けています。


 米国の最低賃金 米連邦政府が定める最低賃金は現在、時給7.25ドル(約780円)。州など地方自治体も独自に最低賃金を導入することができ、額の高い方が適用されます。現在の連邦政府の最低賃金額は2007年におよそ10年ぶりに引き上げが決まって以降、変わっていません。オバマ前大統領は引き上げを表明していましたが、共和党が実権を握る連邦議会が反発し実現しませんでした。


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