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2019年1月3日(木)

主張

朝鮮半島との外交

過去の反省と人権を土台に

 南北、米朝の昨年の首脳会談により始まった朝鮮半島をめぐる平和の流れの中で、それを後押しするためにも、日本と韓国の関係改善が急務です。日本軍「慰安婦」、元徴用工の問題などでの対立を打開するには、両国の努力が必要です。日本側には、相手への一方的非難ではなく、過去の歴史に向き合い、国際的な人権規範もふまえた冷静な外交が求められます。

植民地支配の被害直視し

 韓国の裁判所で日本企業への賠償命令が相次ぐ徴用工問題は、日本の過去の侵略戦争・植民地支配と結びついた重大な人権問題です。「悲惨な条件での企業のための大規模な労働者徴用は、強制労働条約違反」(国際労働機関〈ILO〉勧告)であり、被害者には救済を求める正当な権利があります。

 安倍晋三政権は1965年の日韓請求権協定で「解決済み」と繰り返しますが、日本の最高裁も政府も韓国と同様、個人請求権は消えていないと認めています。救済の道は協議できるはずです。日本政府の有識者懇談会では経済人とみられる委員からこんな指摘もありました。

 「われわれは戦争中相当ひどいことをしてきたが、その原罪について果たして真摯(しんし)に申し訳なかったと反省してきたか。ドイツは国家賠償を行っていないが、巨額の個人補償を犠牲者に対して行ってきた」「ここのところを常に意識しておかないと、われわれはなぜ国際社会から心底許されていないのかという問題には答えることはできない」(2015年4月)

 日本軍「慰安婦」問題でも世界は厳しい目を向けています。安倍首相が15年12月の日韓両政府の合意後も「性奴隷といった事実はない」などと「慰安婦」問題の核心を否定したことに、国連の女性差別撤廃委員会は「国の指導者や公職にある者が『慰安婦』問題に対する責任を過小評価し、被害者を再び傷つけるような発言はやめるよう」勧告しました。日韓合意の実施では「被害者・生存者の意向をしかるべく考慮し、被害者の真実、正義、賠償を求める権利を確保するよう」求めています。日韓合意に基づく「和解・癒やし財団」を韓国が解散したことについても、両国は誠実な話し合いで対立を解消すべきです。

 日韓・韓日議員連盟の合同総会は12月、歴史問題の解決のため「被害を訴える当事者の名誉と尊厳が回復されるよう日韓パートナーシップ宣言の趣旨に基づき相互互恵の精神で共に努力していく」と確認しました。1998年の同宣言は、日本の韓国に対する植民地支配への「痛切な反省と心からのお詫(わ)び」を両国の公式文書では初めて盛り込みました。この表明を守り生かす政治が必要です。

未来へ教訓いかす政治を

 今年は日本による「韓国併合」=植民地化に反対し朝鮮半島全土で人々が立ち上がった「三・一独立運動」から100年です。日本の官憲と軍隊はこれに残虐な弾圧を加えましたが、抵抗は1945年の日本の敗戦による解放まで続きました。朝鮮半島の人々との友好発展は、民族抑圧の否定や植民地支配の美化ではなく、歴史に正面から向き合い、誤りを認め、未来への教訓にする姿勢を土台にしてこそつくられます。その方向に日本政治を進める世論と運動の広がりが求められる年です。


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