2018年12月27日(木)
東電3被告 禁錮5年求刑
強制起訴裁判 「原発 漫然と運転継続」
東京地裁
東京電力福島第1原発事故をめぐって、業務上過失致死傷罪で強制起訴された東電の旧経営陣3人の第35回公判が26日、東京地裁(永渕健一裁判長)で開かれ、検察官役の指定弁護士は「津波対策を完了するまで、原発の運転を停止する義務があったのに、漫然と運転継続した」として、勝俣恒久元会長(78)、武黒一郎元副社長(72)、武藤栄元副社長(68)に、いずれも禁錮5年を求刑しました。
論告で指定弁護士は、2002年7月に公表された国の地震予測「長期評価」について「科学的な裏づけがあり、信頼性が高かった」と指摘しました。これに基づいて東電が08年3月に、福島第1原発に最大15・7メートルの津波が襲来するとの計算結果を得て、社内の担当グループは津波対策を検討していたと強調。当時、原子力・立地本部副本部長だった武藤被告は同年7月末、担当グループが津波対策を進言したのに、対策を先送りする誤った指示をしたと述べました。
翌09年4~5月には本部長だった武黒被告も「15・7メートル」の説明を受け、勝俣被告も09年2月の「御前会議」で「14メートル程度の津波」について知っていたと主張。「敷地を超える津波を予見できたし、事故の発生を予見できた」と述べました。
指定弁護士は、3被告は最高経営層であり、万が一にも事故を起こさない義務があったとして、「情報収集義務」があったのに怠ったなどと過失を主張しました。
起訴状では、3人は大津波による原発事故を予見できたのに漫然と原発の運転を継続し、長時間の避難を余儀なくさせた双葉病院(福島県大熊町)の患者ら44人を死亡させたとしています。これまでの公判で、3被告側は無罪を主張しています。