2018年12月12日(水)
COP24inポーランド
米、化石燃料・原子力推進
若者抗議「恥を知れ」
マイクロソフトなど企業も憂慮
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【カトウィツェ(ポーランド南部)=岡本あゆ】カトウィツェで開催中の国連気候変動枠組み条約第24回締約国会議(COP24)で10日、トランプ政権の米政府が、化石燃料と原子力の推進を主張する会見を開きました。会見の最中、100人以上の若者らがプレスルーム内で抗議を繰り広げました。
会見は米政府や企業関係者らの主導で開催。定員およそ300人のプレスルームは、開場後すぐに満員になりました。
会見で、エネルギー省のグリフィス次官補は「技術革新で、化石燃料をよりクリーンなものにできる」と主張。気候変動対策として、化石燃料と「温室効果ガス排出量の少ない原子力を推進していく」などとしました。
またトランプ大統領の考えとして、企業への炭素税などの規制は「経済成長に悪影響」と強調。「パリ協定は米経済とエネルギー安全保障に反する」との認識を示しました。
会見中、米国などの若者らが一斉に笑い声をあげ、政府の主張を嘲笑。パネリストに向かって「恥を知れ、恥を知れ!」とコールしました。
米南西部の先住民・ナバホ族のレオナ・モーガンさんは「1万5000カ所以上のウラニウム炭鉱が、われわれの土地に放置されている。今も昔も採掘は放射能に汚染されているが、今や原子力は気候変動のクリーンな解決策として推進されている」と非難しました。
マイクロソフトなどの企業も憂慮の声を上げています。米政府の会見直後、北欧の大手金融・ストアブランドのソージェスタッドCEOは、記者団に「“高効率”な石炭であっても気候変動に大きな悪影響を与える。拡大する太陽光と風力市場を無視したフェイクニュースだ」と話しました。
米国はCOPに代表団を派遣している一方、前年に続いて会場内にパビリオンを設けていません。同日の会見が、政府として行った唯一のイベントです。