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2018年12月8日(土)

主張

「12・8」を迎えて

戦争を知らない親から伝える

 朝鮮半島から当時「満州」と呼ばれた中国東北部、さらに中国全土、東南アジアへと戦線を拡大していった戦前の日本が、イギリス領のマレー半島コタバルやアメリカのハワイを攻撃した、1941年12月8日から77年を迎えます。15年にわたる戦争はアジア・太平洋地域と日本に甚大な被害を及ぼし、敗戦によって「連合国軍」の占領下におかれた日本は、戦争犯罪人が処罰され、軍隊は解散、新しい憲法を制定しました。

 戦争の悲惨さを直視し、平和への決意を新たに二度と悲劇を繰り返さないことを確認する日です。

実感持てぬ子どもたちに

 最近地域の「九条の会」の集まりで、元内閣官房副長官補で安保法制=戦争法などに反対してきた、柳沢協二さんの講演を聞く機会がありました。戦争を体験した世代がいよいよ少なくなる中で、戦争を知らない親から、戦争や平和についてさらに実感が持てない子どもたちに、どう伝えるかが大切になっているという話です。柳沢さんと同世代の一人として、興味深く聞きました。

 戦争は「自然災害」ではないのだから、人命を犠牲にする戦争は避け、話し合いで平和を実現することこそ、お互いの国にとって利益になることをわかってもらうしかないという講演内容は、一つの刺激になりました。

 31年の「満州事変」に始まり、37年の日中全面戦争突入を経て、国際的批判に追い詰められて、戦線拡大で自らの主張を押し通そうとした戦争の誤りは明らかです。「15年戦争」とも「アジア・太平洋戦争」ともいわれる侵略戦争は、植民地とした台湾や朝鮮半島だけでなく中国大陸やアジア・太平洋の各地に大きな被害を引き起こし、多数の人命を奪いました。東京など日本各地の空襲や、せい惨な地上戦が繰り広げられた沖縄、広島・長崎への原爆投下など、むごたらしい犠牲を生みました。

 亡くなった方だけでも、アジア諸国で2000万人以上、国内でも310万人を超えるとされています。中国からの強制連行や朝鮮半島からの徴用工問題、日本軍「慰安婦」問題、国内での原爆被爆者や空襲被害者の問題などは今なお責任が問われ続けています。

 被害が甚大だったからこそ、戦争を体験した先輩たちは、二度と繰り返さないと誓ったのです。憲法の前文に書き込まれた「政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにする」という言葉と、戦争放棄・戦力不保持・交戦権否認をうたった憲法9条は、戦後の出発点そのものです。

 今年11月は、侵略を主導した戦争犯罪人が裁かれた「東京裁判」の判決から70年の節目でした。昭和天皇の責任が追及されなかったなど問題もありますが、戦後日本は判決を受け入れ、国際社会復帰の道が開かれました。

 国際社会に背いて、侵略戦争と植民地支配を正当化することは、歴史の逆行に他なりません。

「安倍改憲」の阻止を

 柳沢さんも言うように、戦争で事を構えれば、再び多くの犠牲をもたらすのは明らかです。軍拡や憲法破壊の政治を続けたあげく、9条改憲に乗り出した安倍晋三政権の危険性は明白です。

 「12・8」から77年―。「安倍改憲」を阻止し、平和を生かす決意を新たにする機会にしましょう。


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