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2018年12月6日(木)

入管法改定案 参考人陳述(要旨) 参院法務委

若い労働者の使い捨てだ

神戸大学大学院准教授 斉藤善久さん

写真

(写真)意見陳述する斉藤善久参考人=5日、参院法務委

 出入国管理法改定案による新たな在留資格「特定技能」は、問題の多い技能実習制度の劣化コピーです。安倍晋三首相は「9割の実習生は制度の趣旨通りにやっている」旨の答弁をしています。無責任にもほどがあります。実習生のほとんどは、母国で活用できる技能など学べず、日本語すら身につかないまま帰国を余儀なくされています。

 私が支援に関わった中でも、言葉を覚えようにも職場には牛しかおらず母語まで忘れそうだとか、週1回しか工場から出られず、日本人とあいさつすることさえ禁じられているといった事例が、枚挙にいとまがありません。

 技能実習2号・3号修了者は無試験で「特定技能」に移行できるとされています。これが意味するのは、つらいことや理不尽なことも多い技能実習で辞めもせず、「失踪」もせずに働き抜き、なお日本で働こうというおとなしくて我慢強い人は無試験で受け入れましょうということ。もう一つは、さらに5年働かせてやるから技能実習生になれ、辞めるな、逃げるなということです。

 技能実習制度の根本問題が改善されないまま維持され、さらに危ない形で「特定技能」に引き継がれようとしています。一つ目は、民間人材ビジネスの介在について。技能実習制度では、監理団体はともかくも非営利とされていますが、「特定技能」の「支援機関」には縛りがありません。監理団体が許可制なのに対し、支援機関は届出制です。

 二つ目は、住居について。支援機関が用意する場合、労働基準法の規制対象から外れることになります。

 三つ目は、転職の自由について。転職が認められるといいますが、民間人材ビジネスが管理する外国人労働者をあちこちの会社や現場に送り込み、経費や家賃としてピンはねをする搾取構造をお膳立てするだけです。

 技能実習制度も「特定技能」も、要は若い労働者の使い捨てで、斜陽産業・不人気産業の延命措置にすぎません。保護すべき産業を国がしっかり守り、大企業による下請け工賃切り下げや無理な納期の押しつけなどを規制して日本人の適正な労働条件を確保しない限り、外国人労働者も来てくれません。


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