2018年11月16日(金)
失踪技能実習生の「聴取票」
国会決議に基づく調査
提出拒否に道理無し
法務省提出の資料で分かる
外国人労働者の受け入れを拡大する出入国管理法改定案の国会審議の前提として6野党・会派が提出を求めている失踪実習生の実態を示す「聴取票」が、国会での2度にわたる付帯決議に基づく調査に伴うものだったことが15日、法務省が日本共産党の藤野保史衆院議員に提出した資料から分かりました。国会が求めた資料を国会に出せない道理はないことが浮き彫りになりました。
安倍晋三首相は「聴取票」を国会に提出しない理由について、「入管法違反の容疑で刑事訴追の容疑を受ける恐れのある者から」聴取したもので、「今後の調査等に甚大な影響」があるためだと答弁。山下貴司法相は「捜査に与える影響が大きい」とまで述べていましたが、「聴取票」は捜査ではなく国会が求めた調査に伴って集められたものです。
藤野議員に提出された資料は、「聴取票」作成を指示した法務省の「技能実習生の失踪に係(かかわ)る調査について(通知)」(2014年3月)。聴き取りの目的を「(技能実習制度の)見直しに当たっては制度の適正化が必要」とし、「失踪を防止し、制度を適正に運用するための対応策」のために行うとしています。
「聴取票」は09年の入管法改定時、当時の外国人の研修制度での人権侵害などの実態改善のために、衆参両院の法務委員会で与野党が一致した付帯決議に基づいたものです。
さらに、16年の外国人技能実習法成立時には参院法務委で、「労働時間について調査せよ」という項目が入った付帯決議を与野党一致で行いました。同決議を踏まえ「聴取票」の項目も拡充されています。