2018年11月14日(水)
変形制導入に教育現場懸念
「長時間労働さらに加速」
中央教育審議会「学校における働き方改革特別部会」に文部科学省が提示した公立学校への変形労働時間制(変形制)の導入に、現場の教員からは「長時間労働をさらにひどくしかねない」と懸念の声があがっています。
文科省の案は、長期休業期間の教員の休みを増やす代わりに、学期中の所定労働時間7時間45分を週3~4日1時間のばすというもの。労働時間が8時間を超えると法律で休憩時間も45分から60分にのびるため、在校時間の増加は1時間15分になります。
ある都内の若手教員は、授業終了後も所定労働時間は職員会議や教育委員会の研修で埋まるため、受け持っている校務や教育委員会に出す書類作成、翌日以降の授業準備は所定労働時間外に行っていると語ります。
「所定労働時間がのびれば、会議や研修がそこまで食い込んでくる可能性がある。それ以外の仕事の開始が遅くなる。現場に『働き方改革』の責任を丸投げするものではないか」
子育てや介護が必要な家族を抱える教員への影響も深刻です。連合が実施した「教員の勤務時間に関するアンケート」では、20代で72・2%、60代以上で64・1%が「介護や子育て中の教員は困る」と回答しています。
すでに変形制が導入されている国立大学付属校に勤める教員は「子育てや介護をしている教員が、所定労働時間がのびた日に年休を使って早退する事態が起きている」と語ります。
現場の圧倒的な要求は教員定数の増加です。日本共産党は9日、異常な長時間労働を是正するため教員定数を10年間で9万人増やすことなどを柱とした政策を発表。学校を安心して働き続けられる場にする一点での共闘を呼び掛けています。(佐久間亮)