2018年11月11日(日)
国連安保理が会合
多国間主義の強化を
事務総長発言 各国が支持
国連安全保障理事会は9日、「多国間主義と国連の役割の強化」を議題に会合を開き、グテレス事務総長のほか、70以上の国や国際組織の代表が発言しました。グテレス氏は国連の多国間主義について「試され済みだ」と強調。多くの代表が多国間主義の重要性を指摘しました。(山崎伸治)
米国は反発
グテレス氏は70年前に創設された国連が「生命を守り、経済・社会進歩を促し、3度目の世界大戦を防いだ」と指摘。外交交渉で「持続可能な開発目標(SDGs)」や地球温暖化防止の「パリ協定」などの成果を挙げたと述べました。
一方で「多国間の努力が巨大な重圧にさらされている」として、「国際協力に立ち返るよう促すことが必要」と強調。ネットワーク化され、だれも排除しない多国間主義を確立しようと呼び掛けました。
第73回国連総会のアルタニ副議長(カタール)も「多国間主義が逆風にさらされている」と懸念を表明。「集団的にこれを守っていくよりほかない」と訴えました。
欧州連合(EU)のバレデアルメイダ国連大使は「多国間主義は、各国の利益にかなう現実的な方策だ」と指摘。メキシコのサンドバルメンディオレア国連次席大使は「多国間の話し合いの場は問題を議論し、解決策を共有するためにある」と述べました。
イランのホシュル国連大使は非同盟諸国を代表して発言し、「真の多国間主義とは排除ではなく包含、対立ではなく協力の上に成り立つものだ」と強調しました。
一方、ヘイリー米大使は「米国民が多国間主義は悪い取引(ディール)だと疑問を呈し、それが正しかったこともある」と発言。米国が国連に対する最大の分担金を負担していることを挙げ、「その見返りを期待する権利がある」などと開き直りました。