2018年10月31日(水)
辺野古埋め立て承認撤回執行停止 これが法治国家か
「オール沖縄」抗議
要請・集会 “国は民意尊重せよ”
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沖縄県名護市辺野古の米軍新基地建設工事をめぐって石井啓一国土交通相が、県が工事を止めるために行った埋め立て承認の撤回を執行停止すると決めたことに対し、「辺野古新基地を造らせないオール沖縄会議」は30日、同県嘉手納町の沖縄防衛局前で抗議集会を開きました。
集会前、防衛局の入り口に結集した参加者は、国による行政法の原則を無視した一連の法的措置に関して「沖縄県民の民意を尊重しろ」「埋め立て工事の再開を許さない」と激しく抗議。「一般私人と同様の立場で審査請求や執行停止申し立てを行ったことは断じて許されない」として、法的措置の取り下げを求める要請書を防衛局の担当者に手渡しました。
集会では、オール沖縄会議の稲嶺進共同代表(前名護市長)が「この国に民主主義はあるのか。防衛省も国交省も新基地建設の強行に走る同じ穴のムジナだ。私たちはもっと大きな声で世界に対して『これ以上の我慢は許されない』『沖縄県民の民意を受け止めろ』と訴え、新基地建設を必ず止めよう」と力強く呼びかけました。
参加者は「土砂投入を許さない」などのプラカードを掲げて抗議の意思を示しました。
那覇市から参加した女性(76)は「工事を再開しても海底の軟弱地盤などで必ず困難な状況になる。どれだけの税金をムダ遣いするのか。絶対に工事をストップさせたい」と決意を述べました。
沖縄市の女性(73)は「知事選で圧倒的な民意を示したのに国が行政法を乱用して新基地建設を推進している。これでは法治国家と言えない。沖縄県民は安倍政権に屈しない」と力を込めました。
研究者「制度的乱用だ」
抗議声明
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沖縄県名護市辺野古新基地建設の工事を止めるため県が行った埋め立て承認の撤回に対し、石井啓一国土交通相が行政不服審査法に基づいて撤回を無効化する執行停止を決定したことに、県内の大学教員らは30日、県庁で記者会見し、抗議声明を発表しました。声明には前職を含む67人が名を連ねています。
声明は、行審法が「国民の権利・利益を救済するもの」だと指摘。国の機関である沖縄防衛局が国民のための制度を使うことは「制度的乱用であり、法治・立憲国家として絶対に許されない」としています。
今回の執行停止決定は、防衛局が防衛相の指揮下で申し立て、それを同じ内閣の一員である国交相が認めたものです。声明はその点を「中立性・公平性から見て問題だ」としています。
記者会見で琉球大学の徳田博人教授(行政法)は、政府が県の撤回を取り消す行為を「国の県に対する『関与』に当たる」とし、「関与」である場合、地方自治法にのっとって、裁判等で結論が出るまで、撤回を取り消すか否か確定できないことを指摘しました。
それなのに、行審法という別の法律を使って撤回を無効化していることに対し徳田氏は「政府は行審法、地方自治法、両方の趣旨に反している」と批判しました。
記者会見後、声明は沖縄防衛局で中嶋浩一郎局長あてに手渡されました。