2018年10月28日(日)
安倍首相、習主席と会談
経済協力強調 政治・安保は矛盾も
【北京=釘丸晶】中国を訪問した安倍晋三首相は26日、北京で中国の習近平国家主席と会談し、「日中関係を新しい時代へ押し上げたい」と述べるなど日中の関係改善をアピールしました。両首脳は、習主席の来年の訪日に向け調整を進めることを確認。一方、歴史問題や尖閣諸島(中国名・釣魚島)をめぐる問題での進展は見られませんでした。
会談で、習氏は自らが提唱するシルクロード経済圏構想「一帯一路」は日中協力を深化させるモデルケースだとし、日本側の積極的な参加を要請。安倍首相は透明性の確保などを求め、「世界の平和繁栄に貢献することを期待する」と述べました。
また習氏は、トランプ政権の米国第一主義を念頭に、「多国間主義を守り、自由貿易を堅持する必要がある」と強調。安倍首相は「多角的自由貿易体制を支持する」と応じました。
歴史問題では、習氏は「両国には悲惨な歴史も一時期あり、中国人民が多くの災難に見舞われ、日本人民も深刻な被害を受けた」と言及。東シナ海情勢をめぐって、両首脳は意思疎通を強化し、不測の事態回避に努めることで一致しました。
27日付の中国共産党機関紙・人民日報は1面に、首脳会談を写真付きで掲載。同紙は論評で、「中日関係の改善と発展は、アジアと世界の平和と安定、繁栄に有利であり、期待できる」と歓迎しました。
一方、日中関係に詳しい北京大学国際関係学院の梁雲祥教授は本紙に、「経済協力は進展したが、政治や安全保障面では矛盾があり、日中関係はまだ脆弱(ぜいじゃく)だ。中国は日本政治の右傾化や改憲の動きを引き続き警戒している」と語りました。