しんぶん赤旗

お問い合わせ

日本共産党

赤旗電子版の購読はこちら 赤旗電子版の購読はこちら
このエントリーをはてなブックマークに追加

2018年10月27日(土)

英 広がる貧困・格差

報告書が相次ぎ指摘

緊縮政策へ批判強まる

 【ベルリン=伊藤寿庸】英国の「平等・人権委員会」(EHRC)は25日、弱者と強者の分断が進み、弱者がますます取り残される社会となっているとする報告書を発表しました。貧困や格差の広がりを示す報告書の発表が相次ぐ中、緊縮政策への批判が強まり、今月初めの保守党大会ではメイ首相が「緊縮政策の終わり」に言及、議会の予算審議で論戦が始まっています。

 今回の報告書は、「二速度社会」という表現で、貧困な環境で育った子どもや、障害者、民族的少数者などの貧困が固定化し、深刻化していると指摘。背景として「長期的な公的支出削減」などを挙げました。

 デービッド・アイザックEHRC議長は、「敗者が取り残されており、われわれが行動をしない限り、それを正すのに1世代以上かかることになる」と警告しました。

 9月初めには進歩派のシンクタンク公共政策研究所(IPPR)の経済的公正委員会が、英国経済の根本的な改革が必要だとする報告書を発表しました。

 政府統計では貧困人口は1400万人(人口の22%)。同報告は、最も豊かな10%の世帯が、最も貧しい10%の世帯の900倍以上の資産を保有し、下位半分の世帯の合計の5倍を保有しているなど、貧富の格差の拡大を告発。背景に低賃金労働の広がりなどがあることを明らかにしました。

 経済界や労働組合の代表とともに、同委員会に参加した英国教会トップのジャスティン・ウェルビー・カンタベリー大主教は、デーリー・メール紙への寄稿で、「大多数にとってこれほど不利な経済のあり方をこれ以上続けられない」と述べました。

 また同大主教は9月中旬、英労働組合会議(TUC)創立150周年の大会に出席して、単発の仕事を受注する「ギグエコノミー」など新手の低賃金・無権利労働を「大昔の悪の生まれ変わり」と告発。アマゾンなど巨大企業の税逃れなどを厳しく批判して大喝采を受けました。

 平等・人権委員会(EHRC) 英国で2006年の平等法に基づいて設立された独立行政委員会。教育、仕事、生活水準、保健医療などの分野について平等の実現状況について毎年報告書を発表しています。


pageup