2018年10月25日(木)
夫婦別姓調査ねじ曲げ
国主張 通称使用を「反対」算入
東京地裁弁論
選択的夫婦別姓導入の世論調査の結果をめぐり、国・法務省が、「婚姻前の姓をいつでも通称使用できるよう法改正する」という意見を、「選択的夫婦別姓導入自体に反対している」と解釈していることが24日、東京地裁に提出された被告・国側の書面でわかりました。
この日、同地裁で、ソフトウエア開発会社(東京)の青野慶久社長ら4人が国を相手に「選択的夫婦別姓」を認めない戸籍法の違憲性を争う訴訟の弁論がありました。
裁判では、選択的夫婦別姓についての内閣府の世論調査で、「夫婦は必ず同じ姓を名乗るべきだが、婚姻前の姓を通称としてどこでも使用できるよう法改正をしてもかまわない」という選択肢を選んだ人をどう見るかが、争点の一つとなっています。
被告・国側はこの日提出した書面で、この選択肢を選んだ人を「選択的夫婦別姓制度の導入自体に反対」している人だとしています。
原告側は、「婚姻前の姓を通称としてどこでも使える」ということは「通称としての旧姓に法的根拠を与える」ことだと指摘。戸籍法を改正して夫婦別姓を実現するという原告側の主張に合致しており、「選択的夫婦別姓に反対していると評価することは認められない」としています。
問題になっているのは昨年12月実施、今年2月公表の「家族の法制に関する世論調査」(内閣府)。選択的夫婦別姓導入に「賛成」が42・5%、「反対」が29・3%、「どこでも通称使用できるよう法改正」が24・4%でした。
現行では企業や官庁などの「旧姓使用」に法的根拠はありません。安倍政権が女性活躍施策の一つとする「銀行口座の旧姓使用」もゆうちょ銀行などが認めておらず、対応がまちまちであることが本紙調査でも明らかになっています。