2018年10月17日(水)
陸上イージス “役人答弁”
4度目説明会も住民置き去り 山口
陸上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」の配備候補地の山口県萩市と、隣接する阿武町で15日までの4日間、防衛省の4回目の住民説明会などが開かれました。住民からはこれまでと同様に不安や批判の声が続出。「私たちが聞きたいこととかけ離れている」「『絶対に造るぞ』と言っているとしか聞こえない」と厳しい批判も上がり、同省と住民との埋まらない溝が一層、浮き彫りになりました。(山口県・横沼惇子)
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防衛省は配備の適・不適判断のため必要だと実施を急ぐ地質や電波環境などの調査方法の詳細を説明。資料や質問への回答はこれまでの説明会と重なる内容も少なくありませんでした。
「聞きたいこととかけ離れている」と指摘した男性は「1回目から参加しているが正直、飽きた」と言い、「聞かないと説明されないことがあるのは、住民が何を知りたいか考えていないからだ」と訴えました。調査に対しては「結果は全て公開されるのか」との質問に、防衛省は「防衛機密で公開できないこともあると思う」などと答え、新たな不安を残しました。
北朝鮮をめぐる情勢の変化を挙げて配備の必要性を問う声や迎撃能力の不完全さ、迎撃ミサイルの落下物による危険性などの指摘も多数上がりました。ある女性は「抑止力になると言うが、かえって相手をあおるのでは」と平和外交を要求。しかし、防衛省は「防衛整備と平和的な外交努力の両方をやっていくことが大事だ」などとまともに答えませんでした。
報道によると、萩市での説明会終了後の取材に対し、藤道健二市長は「役人の答弁に終始している」(14日)と批判。配備反対を表明している花田憲彦阿武町長も12日の説明会の際、前回の説明会で次回答えるとしていた回答が準備されていなかったことなどを挙げ、「住民の立場に寄り添った説明ではない」と指摘しました。
配備候補地の陸上自衛隊むつみ演習場内での初めての現地説明会と有識者説明会も開かれました。むつみ地域の住民からは、調査が農業に利用する、ため池の水質に影響しないか心配する声が上がり、「自分の家が見えた。怖いですね」と話す人もいました。
有識者説明会では、「レーダーの電磁波が人体や農業機器に影響しない距離は」との質問に、首都大学東京の多気昌生教授は「レーダーの出力の情報がないので具体的に答えられない」と述べるにとどまりました。