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2018年10月7日(日)

忘れ去られた無数の被害者の存在を認めるもの

ノーベル平和賞2氏

性暴力告発 世界が称賛

 戦時性暴力の撲滅に向けた努力が評価されノーベル平和賞の受賞が決まったコンゴのデニ・ムクウェゲ医師とイラクの人権活動家ナディア・ムラド氏。両氏に対し、世界の各地から称賛の声が相次いでいます。(鎌塚由美)

 ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)のダン・スミス所長は、「戦時のレイプは何世紀にもわたり犯罪であったが、隠れた犯罪だった。2人の受賞者は、その犯罪に光を当てた」とロイター通信に語りました。

 両氏は、国連とともに「戦争の武器としての性暴力」を告発してきました。国連のグテレス事務総長は、「人間の尊厳の擁護者」として声をあげてきた両氏の受賞は、「恥の烙印(らくいん)を押され、隠され、忘れ去られた世界中の無数の被害者の存在を認めるものだ」と指摘しました。

 国連のバチェレ人権高等弁務官(チリ前大統領)は、ムクウェゲ医師とムラド氏の「2人以外に値する人が思いつかない」と述べ、「性的暴行によって苦しむ女性の痛みを認め、立ち向かい、女性たちの尊厳が回復されるようたたかってきた」両氏の勇気と努力を称えました。

 ムラド氏の出身国、イラクのアバディ首相もムラド氏を祝福すると声明を発表。少数派ヤジディ教徒でもあるダクヒル連邦議会議員は、「暗黒の力に対する善と平和の勝利だ」と歓迎しました。

 国際人権団体「ヒューマン・ライツ・ウォッチ」のアフリカ担当副責任者のイダ・ソイヤー氏は、ムクウェゲ医師が「身の危険を冒して、戦争の武器として使われるレイプの広がり、その犯罪が免責されていることを告発した」と称えました。

 米国に拠点を置く「人権のための医師団」のドナ・マッケイ事務局長は、ムクウェゲ医師について「不正を目にしたら告発するという医療専門家が果たすべき役割を完璧に体現する勇気ある人権指導者だ」と指摘。ムラド氏について「性暴力の被害者の声を聞かせ、ヤジディ教徒の苦境を知らしめ、正義を追求する。ムラド氏のような人々の努力があってこそだ」と評価しました。


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