2018年9月20日(木)
平壌会談 平和・非核化 新たな扉開く
「歴史的転機に」と南北首脳
文氏「中身のある実践へ」
金氏「強烈な統一の意志」
【ソウル=栗原千鶴】今回の平壌首脳会談が重要な歴史的転機になるだろう―。18日から平壌で始まった北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)国務委員長と韓国の文在寅(ムンジェイン)大統領による3度目の南北首脳会談を、両首脳は「9月平壌共同宣言」で、こう評価しました。4月27日の会談で両首脳が署名した「板門店宣言」で合意した朝鮮半島の平和と非核化を実現する新たな扉を開いたといえます。
文氏は、共同の記者会見で、「板門店宣言以降、朝鮮半島の周辺では歴史的事件ともいえることが起きている」と語りました。
板門店宣言が結ばれてから約5カ月。史上初めて、南北の職員が駐在する南北共同事務所が開設され、朝鮮戦争で生き別れた離散家族の再会事業も再開されました。海上での突発的な衝突を避けるための無線交信の復活、さらには史上初の米朝首脳会談が行われるなど、劇的な変化をつくりだしてきました。
文氏は「朝鮮戦争は、休戦状態で、砲撃の音はやんだが戦争は私たちの生活の中に続いている。若い命が亡くなり、人々の間で見えない壁ができた。それがいま朝鮮半島に恒久的な平和地帯をつくり、私たちの生活を正常に戻せるようになった。完全なる非核化を完成して、中身のある実践にうつしていくべきだ」と力説しました。
同行した韓国大統領府の鄭義溶(チョンウィヨン)国家安保室長は「核兵器、核の脅威のない朝鮮半島を実現するために、完全な非核化という目標を達成するための具体的な方案について、南北首脳がかなりの時間を割いて深みのある、また非常に虚心坦懐(たんかい)に論議したこと自体が、非常に意味がある」と強調するなど、評価しました。
韓国大統領府の尹永燦(ユンヨンチャン)国民疎通首席は、「1953年から今まで65年間続いてきた朝鮮半島の戦争状態を超えて、実質的な終戦を宣言し、それを通じて醸成された平和を土台に、共同繁栄に進む具体的な実践方策を提示した」と語りました。寧辺核施設の廃棄については「新規の核物質と核兵器生産の根源を源泉的に遮断するという意味であり、それ自体として意味が大きい」と説明しました。
金氏は、「宣言は長くないが強烈な(南北)統一への意志が含まれている」と主張。「われわれの道はそんなに簡単ではないだろう。思わぬ挑戦と難関と試練もあるだろう。しかし試練を勝ち続けるほど、私たちの力はより大きく、より強くなる」と共に歩く決意を述べました。
韓国政府が設けたソウルのプレスセンターには世界から2500人近い記者が登録し、会談の行方を見守りました。会見場には「平和、新しい未来」との文字が掲げられています。
経済紙「マネートゥデー」のキム・ヒョナ記者は「今回の宣言は金委員長の非核化への強い意志を感じた。まだまだ歩みはゆっくりかもしれないが、いい方向に進むよう願っている」と述べました。