2018年9月4日(火)
安倍首相が“改憲表明”
自衛隊高級幹部への訓示
安倍晋三首相は3日、防衛省で開かれた「第52回自衛隊高級幹部会同」での訓示で、「全ての自衛隊員が強い誇りを持って任務を全うできる環境を整える、これは今を生きる政治家の責任だ。私はその責任をしっかり果たしていく決意だ」と述べ、憲法9条への自衛隊明記を目指す考えを事実上表明しました。政府全体に憲法順守を徹底すべき首相が、実力部隊を指揮する自衛隊幹部に向け現行憲法破壊の狙いを示したことは重大です。
首相は訓示で、自衛隊が違憲性を問われてきたことを念頭に、「心ない批判」に「じくじたる思いだ」などと述べました。
また首相は、米朝首脳会談の実現など朝鮮半島の平和を目指す激動にも触れずに、日本の安全保障環境が想定より「格段に速いスピードで厳しさを増している」などと発言。宇宙での優位性確保などの大軍拡を狙う年内の防衛大綱見直しに言及し、「新たな防衛力の完成を10年や15年かけて実現するようなスピード感覚からは完全に脱却しなければならない」「今までの常識はもはや通用しない」として、必要な軍事力を「大局観ある大胆な発想で考え抜いてほしい」と求めました。
会同では小野寺五典防衛相らのほか、河野克俊統合幕僚長ら陸海空各自衛隊幹部ら約180人が訓示を受けました。
安倍首相は、第2次政権発足翌年の2013年9月の第48回会同で「日本国憲法が掲げる平和主義は、これからも堅持していく」と表明したほか、戦争法=安保法制強行直後の15年12月の第49回会同では、自衛隊の存在は合憲だとの主張を展開。昨年9月の第51回会同では安保法制を正当化したものの、同年5月3日に表明した憲法への自衛隊明記には一切言及していませんでした。