2018年8月27日(月)
中国で労組結成めざす従業員を支援
労働争議に学生ら連帯
当局の逮捕相次ぐ
【北京=釘丸晶】中国広東省深セン市にある中国系の溶接機器メーカーの工場で権利擁護のために労働組合を結成しようとした従業員らが地元の警察に逮捕され、大学生らが支援する動きが拡大しています。しかし、当局は神経をとがらせ、学生らも拘束し、事態の沈静化に躍起になっています。
英BBC(中国語版)などによると従業員は工場で超過残業や過酷な罰金、積立金の欠損など違法行為があるとして今年5月、労働組合結成の準備を開始。すると積極的に組合建設を進めてきた代表者が何者かに殴られたり、解雇されたりしました。
7月下旬には解雇撤回を求めた従業員や支援者約30人が相次いで警察当局に逮捕され、14人がまだ釈放されていません。
これに対し、大学生による支援の動きが広がりました。広東省の中山大学大学院を卒業した沈夢雨さん(26)がインターネット上で支援を呼びかけ、北京をはじめとする各地の大学生が現地で支援グループを組織しました。しかし、8月11日に沈さんが行方不明に。24日朝には、支援グループの宿舎に警察が踏み込み、学生ら約50人が拘束されました。
中国の労働争議は少なくありませんが、大学生が労働者に連帯するのは異例です。支援を呼びかけた沈さんは大学院卒業後、工場の女性工員となり、今年4月、従業員代表として工場と給与交渉を行って解雇された経歴の持ち主でした。各地の大学生が呼応し、ネット上に支援表明書をあげ、それを数万人が閲覧し、署名も数千人に及びました。しかし、当局はネット上の支援表明を次々と削除しました。
支援の学生グループが拘束された24日には国営の新華社通信が、中国メディアとして初めて報じ、今回の労働争議は「背後に西側の支援組織がある」と述べました。ロイター通信によると、当局は学生の親を広東省に呼び寄せ、子どもたちを説得するように働き掛けているといいます。教育省は、広東省に赴き抗議に参加しないよう学生たちに呼び掛けるよう全国の大学に通達を出したとしています。