2018年8月22日(水)
パラグアイ 新政権方針
徴兵強化 若者反発
“兵舎でなく教育に投資を”
南米パラグアイのアブドベニテス新政権(15日発足)が兵役拒否を許さない徴兵制の「完全」復活を目指す方針を明らかにし、高校生や青少年団体から懸念や反発の声が上がっています。現地紙「ABCコロル」19日付は「子どもたちは兵役よりも教育を望む」と報じています。(菅原啓)
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報道によると、同国には徴兵制があり、男性は18歳になると1年間の兵役に就く義務が生じます。ただ、宗教・倫理上の理由で入隊を拒否する権利も認められています。実際、多くの青年が兵役を逃れています。アブドベニテス大統領は選挙中から、これを問題視し、徴兵制に「威厳を持たせる」と公約していました。
サロモン青年担当相は17日の就任会見で、「市民に対して、兵舎は重要なことについて学ぶ場所でもあると説明していく」「(若者は)愛国主義が身について兵舎を去ることになる」と述べて、兵役拒否者を減らし義務的徴兵制の「再開」を図る考えを強調。20日以内に、具体的な改革案を提示すると語りました。
全国高校生連合(FENAES)は18日、サロモン氏の発言を断固拒否するとの声明を発表。同連合のイシス・コロネル調整書記は、必要なのは「教育への投資を拡大することだ」と訴えています。
首都アスンシオンで12日から開催されていた第10回中南米働く青少年会議は最終日の18日、9カ国の参加者らが署名した「アスンシオン宣言」を採択。その中で、パラグアイ政府が貧困対策として兵舎(徴兵制)を提起していることに「懸念」を表明しました。
会議参加者の一人エラン・モリニゴさん(17)は、「新大統領は学校にではなく、兵舎に投資しようとする。これは後退。兵舎で教えられるのは、武器の使用と暴力的になること、そして虐待です。私たちはそれに賛成できません」と地元メディアに語りました。