2018年8月20日(月)
ナチス美化許さない
ドイツ・ベルリンで4000人デモ
戦犯“追悼”に対抗
【ベルリン=伊藤寿庸】ベルリン市西部のシュパンダウで18日、ネオナチのデモへの対抗デモに約4000人が参加し、ナチ賛美や人種差別に抗議しました。
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この日は、ナチスの副総統だったルドルフ・ヘス(ニュルンベルク国際軍事法廷で終身刑)が31年前に同地の戦犯刑務所で自殺した日で、これを追悼する「ナチ美化」の行動が計画されていました。
集会・デモには、社民党、緑の党、左翼党などの政党や、労働組合、キリスト教団体などが参加。「多くの兵士や市民、ユダヤ人、ロマを殺害した人物をたたえることは許せない」(カトリック神父)、「野蛮なナチ思想に対して、われわれの価値を守らなければならない」(プロテスタント牧師)、「日常の人種差別がファシズムの温床だ」(トルコ系市民代表)などの発言が続きました。
「極右に反対するおばあちゃんたち」のプラカードを掲げたゲルトルート・グラフさん(67)は、「戦争で夫婦が引き裂かれ、息子が戦争に取られ、女性はレイプされた。その再来を許さないために、ユーモアで抗議をしている」といいます。
「ニュルンベルク裁判の後も、元ナチが法律家、政治家、実業家など高い地位に残った。だからそういう思想が今も残っている」と語る女性(54)もいました。
対抗デモに圧倒された数百人のネオナチは、シュパンダウでのデモを断念。ベルリン市中心部に移動してデモを行いましたが、ここでも座り込みなどの対抗デモに見舞われました。
ルドルフ・ヘス ヒトラーの私設秘書からナチ党の副総統となったナチス・ドイツの幹部。戦後1946年のニュルンベルク裁判で終身刑。ベルリンのシュパンダウ連合軍戦犯刑務所で服役中の1987年に自殺。ニュルンベルク裁判で、「私は何も後悔していない。もし最初に戻っても、同じ様に行動するだろう」と証言し、無反省を貫きました。