2018年8月19日(日)
少子化進み中国危機感
産児制限40年 撤廃論相次ぐ
地方政府は出産奨励策
中国で近年、少子高齢化が急速に進み、約40年間実施されてきた産児制限を撤廃し、出産奨励に切り替えるべきだという意見が相次いで上がっています。著名な人口問題専門家の何亜福氏は最近、中国紙・華夏時報に「来年、9割の確率で、出産が全面的に開放されるだろう」と語っています。(小林拓也)
|
中国共産党中央党学校国際戦略研究所の周天勇副所長は7月、人力資源社会保障省が主管する月刊誌に、「出産の全面的な開放は一刻も猶予できない」と題する論文を寄稿しました。論文は「今後5年で、中国の青年人口(15~44歳)は約3000万人減少し、労働力人口が大幅に縮小する」と危機感を表明。その上で、「産児制限が現在の人口構造をつくった主要原因だ」とし、「いますぐ出産を全面的に開放し、産児制限を撤廃すべきだ」と主張しました。
中国は1979年から、1組の夫婦に1人の子どもしか認めない「一人っ子政策」を実施。2000年代から徐々に緩和し、16年から2人まで産める「二人っ子政策」に転換しました。しかし17年の出生数は、16年比63万人減の1723万人でした。
少子化の原因として、中国メディアは、▽収入に比較して不動産が高い▽教育のコストが高い▽保育園などが整備されていない―などを指摘しています。
こうした中、一部の地方政府はすでに出産奨励策に踏み切っています。3年連続で人口減となった遼寧省は7月、▽2人目を出産する夫婦に税制や教育、住宅などの面で優遇する▽女性の出産後の雇用を保障する―などの計画を発表。天津市、新疆ウイグル自治区の石河子市、湖北省の宜昌市や仙桃市、咸寧市も出産手当の増額や出産費用の無料化などを決めました。
6日付の中国共産党機関紙・人民日報(海外版)は「出産は家庭の事項であり、国家の事項でもある」と題する論評を掲載。「出生率低下の解決は、家庭の自覚に頼るのではなく、制度を整える必要がある」とし、「政府は的確な措置をとるべきだ」と訴えました。