2018年8月12日(日)
同性婚禁止は違憲
最高裁判断 人権団体など歓迎
コスタリカ法を改定へ
中米のコスタリカで2月の大統領選挙以来、激しい議論が続いてきた同性婚について最高裁がこれを認めない法律は違憲との判断を示しました。選挙キャンペーンで同性婚合法化を訴えたカルロス・アルバラド大統領は9日、この判断を歓迎し、性的指向による差別のない社会の実現を改めて約束しました。
同国は今年1月、米州人権裁判所から同性婚を認めるよう勧告を受けていました。この問題の是非を審理していた最高裁は8日深夜、同性婚を禁じる現行の法律が「違憲かつ差別的である」として、18カ月以内に国会が法改定を行うよう命じる判決を下しました。
現地からの報道によると、同国では同性婚に反対するカトリックの影響が伝統的に強く、近年では保守的なキリスト教福音派も増加中。国会でもこうした影響を受けた右派勢力が多いのが現状です。
同性愛者であることを公表しているエンリケ・サンチェス議員はメディアに、同性婚を認める法改定で合意ができるとは思えないと語っています。
最高裁のフェルナンド・カスティジョ判事は判決後の会見で、国会が18カ月以内に法改定を行わないならば、「同性婚禁止規定は自動的に法的効力を失い、同性婚が正当と認められることになる」と説明しました。
アルバラド大統領は9日発表の声明で、国会が期限内に同性婚を認めるよう求め、期限が過ぎたら、現行の関連法は有効性を失うとの見解を表明。政府として「性的指向や性別で誰も差別されないことを保証する行動を進めていく」との決意を明らかにしました。
同性婚合法化を主張する組織や人権団体などは4日、首都サンホセで大規模なデモを行い、最高裁に圧力をかける運動を行ってきました。その一つ「多様性運動」のビクトル・モンヘ副会長は9日、最高裁が即時合法化を命じなかったことを「臆病だ」と指摘しつつ、「われわれは満足していないが、これが一つの前進だと確信している」と語りました。
(菅原啓)