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2018年8月8日(水)

入試不正、悪しき「伝統」

「裏口入学」も多数 東京医大調査委、根深さ指摘

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(写真)会見する内部調査委員会の中井委員長(右)ら=7日

 東京医科大学(東京都新宿区)が入試で不正な得点調整をしていた問題を調べた内部調査委員会は、7日に公表した報告書で、「不正な得点調整は長年にわたり、いわば悪(あ)しき『伝統』のように行われていた」と結論付けました。

 報告書は、文部科学省の補助事業を獲得する見返りに、元局長、佐野太被告=受託収賄罪で起訴=の息子を個別に不正加点して合格者にしたと認定。同委員会の中井憲治委員長は会見で、同様の「裏口入学」のような可能性がある事例も多数、調査で明らかになったと紹介しました。

 報告書では、同大学前理事長の臼井正彦被告や前学長の鈴木衛被告=ともに贈賄罪で在宅起訴=が、合格を依頼された受験生が実際に合格した場合、「大学に寄付金を納入してもらうほか、個人的に謝礼を受け取ることもあったようである」と記しています。

 また、同窓生の子どもの入学者数を増やすよう同窓会から理事長や学長に対してプレッシャーがあったことも指摘。同大では同窓生からの寄付金が財政上一定の割合を占めていたとし、「同窓生からの寄付を期待して、その子弟の合格の依頼に応じざるを得なくなっていた可能性がある」と推測しています。

 中井氏は「調査を始めた当初は、このような不正が臼井、鈴木両氏の個人的な資質によるものだろうと思っていたが、資料を見ていくうち、どうも違うのではないかと。大学の組織的、構造的に根深いのではないか」と言及。2008年に、入試疑惑を報じた週刊誌報道を機に、学内に改革に向けた動きが一時生まれたものの、その後すぐに霧消してしまったことを挙げ、類似案件の継続調査と外部人材の登用による改革を徹底する必要があるとのべました。

 また調査では遅くとも06年以降に女性受験者の差別扱いをしていたことも判明しました。

 一般入試の2次試験では100点満点の小論文から男女ともに得点を8割に減点。そのうえで現役と2浪までの男子は20点、3浪の男性は10点を加点。女性と4浪以上の男性は加点しませんでした。

 この結果、女性が100点をとっても80点にされます。他方、現役男性の場合、100点が80点にされても、20点を加点されることで再び100点になります。

 女性に不利な仕組みを導入したことについて報告書は「女性は年齢を重ねると医師としてのアクティビティ(活動性)が下がる、というのがかかる得点調整を行っていた理由のようである」と指摘。調査をした植松祐二弁護士は「女性は長時間勤務できないという意味でいわれていた」と説明しました。 (岡素晴)


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