2018年8月8日(水)
公的マネー投入 株価つり上げに66兆5000億円
アベノミクス 異常事態
アベノミクス(安倍晋三政権の経済政策)によって国内株式市場に投入されている公的資金の時価総額が6月末時点で66兆5000億円に達していることが7日までにわかりました。東証1部の時価総額に占める比率も3月末時点の10・0%程度から10・3%程度に増えています。国内株の1割を公的資金が占め、株価をつり上げる異常事態です。本紙の集計でわかりました。
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株式を買い入れている公的資金は、日銀と年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)です。
日銀は年6兆円のペースで株価指数連動型上場投資信託(ETF)を買い入れています。4月は株価が上昇基調だったため、日銀のETF購入はそれほど多くありませんでしたが、6月には株価が低迷。これを買い支えるために6月後半の2週間では10営業日のうち9営業日で日銀が買いに入るなど、大量のETF購入が行われました。この結果、6月末時点で26兆円以上の水準に達したと推計されます。
一方、GPIFについては3日に4~6月期の運用状況が発表されています。これによると少なくとも3月末時点の保有株式を維持し、保有総額は3500億円程度、増やしていると考えられます。
以上を踏まえると6月末時点で株式市場に投入されている公的マネーはGPIF40兆4000億円程度、日銀26兆1000億円程度と推計されます。公的マネーのほとんどは東証1部上場企業に向けられています。東証1部の時価総額の1割以上が公的マネーで占められていると推計されます。
公的マネーが「筆頭株主」となっている企業は東証1部上場企業全体では3月末より12社増え、722社となっています。GPIFが単独で筆頭株主となっている企業が6社減となる一方で、日銀単独で筆頭株主となっている企業は7社増えました。