2018年8月2日(木)
陸上イージス 広がる反対 配備候補地の住民
「北朝鮮情勢変わったのに」
陸上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」の配備候補地とされる、秋田市と山口県萩市。自治体や住民の中に、批判や不安の声が強まっています。
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保守系議員も批判 秋田市
秋田市で防衛省が「イージス・アショア」の「最適候補地」とするのは、住宅密集地の新屋勝平(あらやかつひら)地区にある陸上自衛隊新屋演習場です。
7月25日には、近隣の16町内会で構成される新屋勝平地区振興会が、配備反対を決議。「住宅密集地にミサイル基地は必要ない」と確認し、防衛省や県に今後、意見書を提出する予定です。
防衛省は24日に開いた秋田市議会に対する説明会で、北朝鮮の脅威論など従来と変わらない説明の繰り返しに終始。強引に計画を推し進める姿勢に保守系議員からも批判が相次ぎ、傍聴した市民から「何の答えにもなっていない」「傍聴した意味がない」と怒りが噴出しました。
住民の不満の声に、佐竹敬久(のりひさ)知事や穂積志(もとむ)秋田市長も、防衛省に適地調査の延期を要請。防衛省は25日に調査延期を表明しました。
28日に開かれた防衛省の第2回住民説明会では、参加者が次々に手を挙げ、「必要性の説明がでたらめだ」「孫を呼ぶこともできなくなる」と配備撤回を求める訴えが続きました。
説明会に参加した勝平地区の男性(69)は「防衛省は、北朝鮮情勢が変わってきていることを認めながら『イージスは必要』と言う。矛盾だらけだ」と話しました。
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市町が国に要請 山口・萩市
陸上自衛隊むつみ演習場がある、山口県萩市や隣接する阿武町では、「イージス・アショア」への住民の根強い批判や不安の声が市や町を動かし、国の強行を許さない動きが強まっています。
7月上旬から中旬にかけ、演習場がある同市むつみ地区の住民や、演習場に近い同町福賀地区の全16自治会と全4農事組合法人などが、市や町に計画の撤回を相次いで申し入れました。
両市町での防衛省の2回目の住民説明会(同21~23日)でも不安や批判の声が多数で、「(説明の)回を追うごとに不安が増す」と指摘する人もいました。
こうした住民の声を受け、高橋博史副市長は23日、同省を訪れ、現地調査入札の開札延期などを要請。花田憲彦町長は25日、同省で政務官に住民からの要望書を手渡し、同じく延期と配備先の再検討を求めました。同省は同日、開札の延期を発表しました。
県と同市による同省への52項目にわたる再照会(同18日)は、6月の住民説明会での参加者の質問を反映した内容も含んでいます。
同市の「総がかり行動萩実行委員会」や「『イージス・アショア』配備計画の撤回を求める住民の会」も撤回を求める署名にそれぞれ取り組むなど、活動を強めています。