2018年7月26日(木)
最賃目安額 生活保障に遠く
今すぐ1000円 めざせ1500円
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最低賃金はいま、「8時間働けばふつうにくらせる社会」を実現するため、最低限の生活保障にふさわしい額にすることが求められています。ところが、中央最低賃金審議会小委員会が示した全国加重平均で時給26円増という目安額は、安倍政権の掲げる「年率3%」に沿っただけで、生活保障と格差是正にはほど遠いものです。
使用者委員抵抗
目安どおりに引き上げても、最高額の東京都985円でフルタイム年1800時間働いて、月14万7000円、年177万円です。最低額の沖縄など8県では、月11万4000円、年136万8000円にしかならず、「働く貧困」の解消にはつながりません。
審議会で労働者委員は800円以下の地域をなくすことが急務だと主張。ギリギリの要求として35円引き上げを求めましたが、使用者委員が抵抗し、19県も700円台が残る目安になりました。
使用者側は、30人以下の小規模事業所の賃金上昇率が1・4%程度だとして、安倍政権の中小企業支援策に効果が上がっていないことを口実に、引き上げに抵抗しました。大企業がもうかれば、中小企業経営や労働者の賃上げにまわるという安倍政権のアベノミクスが破たんしていることを示しています。
地域間格差も深刻です。時間額のみで最賃を表示するようになった2002年に104円だった格差が、225円にまで拡大します。月150時間労働で3万3750円、年1800時間で40万5000円もの格差です。
全国一律制度を
最賃水準のパート・アルバイトが多いコンビニやチェーン店は、全国どこでも同じ仕事で同じ商品・サービスです。最賃に格差をつける理由はありません。
審議会で労働者委員からも「隣県や都市部との格差拡大は働き手の流出に直結しており、この状況を早急に是正しなければ、地方における中小・零細企業の事業継続や発展は困難である」と意見が出ています。
各県ごとにランク分けして格差をつける制度は行き詰まっています。全国一律制度の確立は急務です。
全労連は全国各地の最低生計費調査でどこでも1500円程度が必要なことを明らかにして、今すぐ1000円以上を求めています。若者グループ「エキタス」が最賃1500円を求める運動を広げています。欧州では全国一律で1000~1400円が当たり前です。
日本共産党は全国一律制度を確立し、「今すぐどこでも1000円にして、1500円をめざす」ことを中小企業に対する直接支援策とセットで提案しています。
これから各都道府県の地方審議会で議論がはじまります。ここでの審議が引き上げ額を決定します。目安から上積みを求めるたたかいはこれからです。(田代正則)