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2018年7月13日(金)

NATO首脳会議が「宣言」

軍事費・核戦力を増強

対ロ戦略・「公正な負担」盛る

 【ブリュッセル=伊藤寿庸】北大西洋条約機構(NATO)の首脳会議は初日の11日、首脳宣言を発表し、対ロシアの軍事戦略や「公正な負担分担」の名の下で各国の軍事費増額、核戦力の強化を打ち出しました。いずれも米政権がこの間打ち出してきた政策に沿ったもの。カナダでの主要7カ国(G7)首脳会議では宣言への同意を撤回して同盟国との溝を深めたトランプ大統領は、この宣言については承認しました。


 宣言は、ロシアのクリミア占領や、NATO加盟国周辺での挑発的な行動、核兵器の近代化、さらには西側諸国への選挙介入などをあげて、「欧州・大西洋の安全と安定に挑戦している」と指摘。「悪化する安全保障環境に、抑止力と防衛態勢の強化で対応する」として、ロシアと接するNATO東部諸国への前進配備を続けるとしています。

 また米国が強く要求してきた「公正な負担分担」ついては、同盟の「一体性、連帯、信頼性」を支えるものだとして、国内総生産(GDP)2%への軍事費増を2024年までに実現するとのこれまでの約束を確認しました。

 宣言は、「あらゆる戦略的方向からの持続的な挑戦と脅威」を伴う「危険で予測不能で流動的な安全保障環境」をあげて、中東・北アフリカでのテロとのたたかい、戦時の米国からの支援、ロシア国境への兵力の移動の迅速化、サイバー攻撃への対応などを強化するとしています。

 さらに核戦力については、「集団防衛の中核的要素」として強化し、「核抑止能力を、安全、確実、効果的に保つ」としました。また「核兵器が存在する限り、NATOは核同盟であり続ける」ことや、米国の核兵器が「同盟の安全の最高の保障」などとする方針を再確認。欧州配備の核兵器撤去の世論の強まりに対しては、「NATOの核抑止力体制は、欧州に前進配備されている米国の核兵器に依存している」として、配備継続を強調しました。

 米国のイラン核合意からの離脱を受け、これまでの首脳宣言にあった、イラン核合意を「称賛」するとの一節は姿を消し、イランのミサイル開発への懸念を強調しています。

 会議では、マケドニアのNATO加盟交渉入りについて一致しました。


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