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2018年7月12日(木)

「対立」も軍拡は着々

NATO首脳会議開幕

「新しい脅威」抑止を口実に

 【ブリュッセル=伊藤寿庸】北大西洋条約機構(NATO)の首脳会議が11日、ブリュッセルの本部で開幕し、米、カナダ、欧州の29加盟国に加え、北欧や旧ソ連・東欧、アフガニスタンなど合わせて約40カ国と欧州連合(EU)のパートナー国の首脳が、世界規模の軍事戦略について話し合います。


 昨年に続く出席となったトランプ米大統領は、NATOの他の加盟国の軍事費負担に不満を表明し、軍事費増額を強く求めてきました。トランプ氏は11日、「米国ははるかに多くの支出をしており、他国の負担は十分でない」と発言。特にドイツをやり玉にあげ、米国が対ロシア防衛に多額の支出をするなか、ロシアからガスの輸入契約を結んでいるのは「非常に不適切」と攻撃しました。

 トランプ政権によるイラン核合意からの離脱や、貿易と安全保障を結び付けた欧州・カナダの同盟国に対しての「貿易戦争」の発動などによって、独仏など一部同盟国の対米不信は強く、「大西洋同盟の歴史上もっとも緊張した首脳会議の一つ」(英紙フィナンシャル・タイムズ)とも報じられています。

 ただ軍事費拡大は、すでにNATO自身が決定し推進してきたことです。2014年の首脳会議は、緊縮政策によって削減が続いていた軍事費について、「国内総生産(GDP)の2%」「うち20%を主要装備に支出」する軍拡義務付けを決定。各国の軍事予算の伸びを報告する仕組みもつくりました。

 開会に先立ち10日に記者会見したストルテンベルグ事務総長は、「国防費に関するトランプ大統領の指導力に感謝する」と表明。NATO諸国の軍事費が増加傾向にあり、「2%」目標達成の国が今年は8カ国となる見込みであることを指摘しました。

 同事務総長は、「意見の違いがあっても、NATOは大西洋をまたぐ安全保障の要石でありつづける」と強調しました。

 首脳会議では、ロシアを含む「幅広い新しい脅威」への抑止力強化の名のもとで、バルト3国やポーランドへの前進配備や中東・アフリカに対する脅威への対応、「信頼ある効果的な」核抑止力の維持など一連の軍備強化方針を決定します。

 また「テロとのたたかい」の柱で域外への兵力派遣や現地軍の訓練の拡大、EUとの協力強化、指令システムの現代化なども決定する予定です。

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