2018年7月7日(土)
米国が対中制裁発動
追加関税25% 「貿易戦争」激化へ
中国商務省「世界・米国民にも損害」
【ワシントン=遠藤誠二、北京=釘丸晶】トランプ米政権は米東部時間6日未明、中国からの輸入製品に25%の追加関税を課す制裁措置を発動しました。
これに対し、中国も米産品に報復関税を実施。世界経済の1位と2位を占める両大国による制裁合戦が激化し、「貿易戦争」を招く可能性が一段と高まりました。
米国が追加関税を課すのは、ロボットや情報通信機器などのハイテク製品。総額500億ドル(約5兆5000億円)の1102品目のうち、340億ドル(約3兆7500億円)の818品目です。
米政府は3月に、知的財産権の侵害を理由に、通商法301条に基づき制裁を行うと発表。6月15日には、対象品目の最終案を明らかにしていました。
米国の制裁発動を受け、中国商務省は6日、「必要な反撃をせざるを得ない」と報復措置を表明する談話を発表しました。農産品や自動車など545品目340億ドル相当を対象に25%の追加関税を課します。
中国商務省は「米国は世界貿易機関の規則に反し、最大規模の貿易戦争を発動した」と指摘し、「世界の多くの多国籍企業、一般企業や消費者に波及し、米国企業と国民にも損害をもたらす」と警告しました。
米国の貿易赤字の約半分は中国です。トランプ政権はすでに鉄鋼・アルミニウムに追加関税を課しています。欧州連合(EU)や隣国カナダ、メキシコは報復関税を実施し、対立が深刻化しています。
高関税措置は、世界に広がった多国籍企業の部品供給網に打撃を与えることになるため、国際通貨基金(IMF)など国際機関、米国内の経済界からもトランプ政権の通商政策に反対する声があがっています。米国内の雇用にも重大な影響を及ぼします。しかしトランプ政権は、政策を転換させる姿勢はみせていません。
トランプ大統領は5日、中国が報復措置をとった場合、あらたな追加関税を課すと公言しています。