2018年6月28日(木)
トランプ米政権の「不寛容」政策
「残酷だ」17州などが提訴
親子引き離しは違法
中米諸国から米メキシコ国境を越えて米国へ入国しようとする親子をトランプ政権が引き離している問題で、米カリフォルニア州など17州とコロンビア特別区(首都ワシントン)の司法長官は26日、親子の引き離し策は「残酷で違法」だとして、差し止めを求める訴訟をワシントン州シアトルの連邦地裁に起こしました。(鎌塚由美)
トランプ政権は4月以来、「不法入国者」の親の刑事責任を問う「不寛容」政策を導入。刑事訴追によって親子が引き離され、これまで2000組以上の親子が分断されていることが判明しています。「家族を引き離さないことは、難民保護の基本理念だ」(国連難民高等弁務官事務所)など国内外から厳しい批判が上がっています。
提訴した18人の司法長官は、親子を分断する政策では、刑罰を受ける際の「適正手続き」さえとられていないと指摘。また、トランプ政権は、南部国境を越える主に中南米からの移民のみを標的にしていることから、「不法入国者への敵意に動機付けられており、憲法違反だ」と述べました。
批判の高まりにトランプ大統領は20日、親子分断を解消する大統領令を出しましたが、司法長官たちは、同大統領令は「引き離された親子を再会させるものではない」と指摘。再会はほとんど実現しておらず、現場で混乱が続いていることを非難しました。
ニューヨーク州のアンダーウッド司法長官は声明で、「親子の引き離しは非人道的で、不道徳で違法だ。われわれはそれを止めるために提訴する」と述べ、同州の保護施設に移された子どもが、少なくとも321人いると確認していることを紹介。主に4~12歳で、なかには9カ月の子どももいるとし、子どもたちが極限の精神状況に追い込まれている事例を指摘しました。
17州と特別区の司法長官はいずれも野党民主党系です。