2018年6月26日(火)
論戦ハイライト
カジノ法案「観光に有害」
参院予算委集中審議 大門実紀史議員が追及
「国会会期延長の最大の理由がカジノ賭博場をつくる法案を通したいから。こんなおぞましい話はない」―25日の参院予算委員会。日本共産党の大門実紀史議員は、カジノ実施法案には一片の道理もないことを突きつけ、その廃案を迫りました。
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訪日客増加率は386%
安倍晋三首相はカジノ解禁の最大のねらいを「外国人観光客を増やし経済成長の目玉にする」ことだとしています。
カジノ推進派は、2010年に大規模なカジノ施設を開設したシンガポールが海外からの観光客を増やしたことを「手本」に、カジノを中核とする統合型リゾート(IR)を解禁するとしています。
大門氏は、シンガポールのカジノ開設後の外国人観光客増加率は124%、同じ時期に日本は386%であることを示しました。
大門 カジノなしでも日本の観光は充分発展している。
首相 IRで海外からの観光客がさらに期待される。
根拠もなくカジノに執着する首相にたいし、大門氏は、カジノが観光客を「囲い込む」ことによる地域の観光収入の減少、観光地としてのイメージ悪化など、害悪が大きいことを示して反論しました。
違法な民間賭博解禁
日本は刑法で賭博を禁じている国です。その例外として行われている競馬、競輪などの公営競技は厳密なルール(違法性阻却=そきゃく=の8要件)により特例法で認めています。
大門氏は、違法な民間賭博であるカジノを実施法案で認めるためには、この8要件に照らした厳密な議論が必要であることを指摘しました。
大門 いままで公的団体が運営主体である公営賭博しか認めてこなかった理由は何か。
上川陽子法相 公益性に照らした収益の配分は違法性阻却の大きな要素だ。
意味不明な答弁しかできない法相に、大門氏は賭博の利益を私的な目的に使うことがあれば「アウト」という従来の法務省の見解の根本を示し、民間賭博解禁にかじを切った政府の方向転換を批判しました。
利益 経営一族の懐に
カジノ企業が私したカジノ収益は、どこにいくのか―。
大門氏は、日本への進出をねらう米国など海外カジノ資本の一つで“カジノ王”と呼ばれるシェルドン・アデルソン氏が会長として支配するラスベガス・サンズの最新の会計報告で示しました。
サンズは12年から17年の6年間に、マカオやシンガポールなど海外のカジノが大半を占める利益から159億ドル(約1兆8000億円)を株主に配当しています。その構成をみると、アデルソン氏やその一族が7割を占めるという“強欲”ぶりです。
大門 利益のほとんどを私企業、一つのファミリーが懐に入れる。どうしてこんなものに「公益性」があるといえるのか。
首相 運営主体はまだ決まっていないからお答えできない。
首相は逃げの答弁を打ちました。しかし、日本のカジノ解禁は、結局は米国などのカジノ資本の利益第一ですすんできたことは否定できない事実。大きな矛盾が浮かび上がりました。
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