2018年6月24日(日)
沖縄「慰霊の日」
失った悲しみから生じる反戦・新基地反対の思い
沖縄戦から73年の「慰霊の日」を迎えた23日の沖縄県糸満市摩文仁(まぶに)の丘。早朝から照りつける日差しのもと、戦没者の名前が刻まれた平和の礎(いしじ)に花や食べ物を供える戦争体験者・遺族の姿がありました。壮絶な体験と悲しみに裏付けられた反戦や新基地反対の思いを聞きました。
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今帰仁(なきじん)村出身の女性(74)=沖縄市=は、生まれる1カ月前に沖縄戦で亡くなった父の顔を知りません。ガマ(自然の洞窟)から出た瞬間爆死したといいます。「戦争は絶対やってはいけない。お互いを理解し合い、許せば分かり合える」と言いました。
戦没者追悼式典でのあいさつで、安倍晋三首相が沖縄の基地負担を減らすために「確実に結果を出す」と述べると「ウソつけ!」とのやじが飛びました。
浦添市の男性(79)は、父親がどこで亡くなったか分からず、遺骨も見つかっていません。戦火で家族写真も失いました。
「普天間基地(沖縄県宜野湾市)を移すと言って(同県名護市の)辺野古に最新鋭の基地を造る。何が負担軽減なのか。安倍首相の言葉は偽りばかり。新基地を許したら悲劇は繰り返される」と訴えました。
沖縄戦で家族・親族10人以上を失った八重瀬町の女性(76)は、「普天間基地は無条件で撤去してほしい。口先ばかりの安倍首相は代えないとだめ」と語りました。
娘さん(42)は「行けるときに辺野古の座り込みに参加している。後悔しないためにできることをやる」と力を込めました。
「沖縄の人は(米軍再編交付金などの)アメで尻尾を振ったりしない」と那覇市の女性(85)。「安倍さんや自民に対決する野党が共闘して頑張ってほしい」と述べました。
辺野古新基地に固執 安倍首相
安倍晋三首相は23日、沖縄県糸満市の平和祈念公園で開かれた「沖縄全戦没者追悼式」であいさつし、同県に米軍基地が集中していることに関し「沖縄の方々には長きにわたり大きな負担を担っていただいている」とした上で「負担軽減のため確実に結果を出していく。『できることはすべて行う』方針の下、引き続き全力を尽くす」と表明しました。
安倍首相はあいさつ後に記者団の取材に応じ、同県名護市辺野古への米軍新基地建設を進めていく考えを表明。米軍機の飛行ルートが海上に移るとした上で「騒音も大幅に軽減し、安全が大幅に向上する」「県や地元のみなさんの協力、理解をいただくために努力を重ねていく」などと述べながら、「最高裁判決や関係法令にのっとり移設を進める」と強弁。8月17日に計画している埋め立て海域での土砂投入の開始など、新基地建設の強行を合理化する姿勢を示しました。