2018年6月20日(水)
カジノ実施法案 塩川議員の反対討論(要旨)
衆院本会議
日本共産党の塩川鉄也議員が19日の衆院本会議で行ったカジノ実施法案に対する反対討論(要旨)は次の通りです。
第1に、カジノ法案に国民の6~7割という圧倒的多数が反対しているにもかかわらず、6月15日の内閣委員会で野党の審議継続を求める動議を一顧だにせず、自民、公明両党と維新の会で強行採決したことは、断じて認められません。
カジノ法案は、刑法で禁じられた賭博を合法化するものです。カジノは民間事業者が私的利益のために開設するもので、公益を目的として認められた公営競技とはまったく違います。ギャンブル依存症や多重債務者が増加し、生活破たんや治安悪化も懸念されます。公営競技やパチンコなど既存ギャンブルによる依存症の疑いのある人は320万人と世界で最も深刻です。
公明党の石井(啓一)カジノ担当相も「カジノの弊害を心配する声が多い」と認めたのです。法案は251条の条文で、政省令事項は331項目に上ります。野党側が国民の疑問に答えるため、地方公聴会の実施など徹底審議を要求したのに対し、与党側は委員会定例日にも質疑を行わず、審議拒否を繰り返した揚げ句、わずか18時間の審議で採決を強行したのです。法案内容を国民に知らせずに押し切ろうという政府・与党の姿勢は、議会制民主主義の蹂躙(じゅうりん)と言わなければなりません。
第2に、政府は世界最高水準のカジノ規制だ、依存症対策だと言ってきました。ところが、当初想定していたカジノ面積の上限規制をも外し、世界最大規模のカジノ施設を造ろうとしています。極めて重大です。カジノ企業やカジノ誘致を目指す自治体の試算を見ても、ターゲットが日本国民であることは明らかです。IR(統合型リゾート)の収益の8割は、カジノのもうけです。そもそも人のお金を巻き上げるだけの賭博に経済効果などありません。
第3は、公営ギャンブルやパチンコでは認められていない客への金の貸し付けをカジノ企業には認めることです。賭博の胴元が客にどんどん金を貸すことができます。貸金業法では貸付限度額は年収の3分の1と決まっているのに、カジノの貸し付けには適用されません。過剰貸し付けへの歯止めもなく、依存症や多重債務者の拡大につながることは必至です。
第4に、カジノを規制するために新たに設置されるカジノ管理委員会は独立した規制機関だと言いながら、その経費を負担するのは規制されるはずのカジノ企業です。石井カジノ担当相は、カジノ管理委員会の事務局にカジノの実態を知る人=カジノ事業者を採用することもあると認めました。金も人もカジノ企業に依存する管理委員会は、カジノ推進機関になりかねません。
昨年2月、安倍総理がトランプ大統領との初の首脳会談を行った日の朝食会には、カジノ企業のトップ3人が出席しました。そのうちの1人は、トランプ大統領の最大の支援者です。安倍総理はその場で、日本のカジノ推進の取り組みを紹介しました。その後「カジノに貸し付けは不可欠だ」「カジノ面積をもっと広げろ」と要求してきたのは米国カジノ企業でした。まさに米国カジノ企業によるカジノ企業のためのカジノ事業法案です。このようなカジノ法案は廃案にするしかありません。