しんぶん赤旗

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日本共産党

2018年6月18日(月)

シリーズ 憲法の基礎

9条の力 海外派兵の制限

 60年安保闘争や国民的な憲法改悪阻止のたたかいを経て、自民党は当面の明文改憲を断念します。安保改定を強行して退陣した岸信介の後に首相となった池田勇人(はやと)は「自民党が3分の2の多数を取ったからと言って直ちに改正しない」と発言し、経済発展を優先する政策で保守政治の基盤を固める路線を追求します。

 他方、1966年に国連で国連軍常設化の議論が起こると、日本政府内でも「国連の警察行動に対し、自衛隊の海外派兵、国連軍への基地提供を認める」ことなどを骨子とする法案要綱とりまとめの動きが報じられました。

 これをめぐり野党が、軍事監視団への自衛隊参加の場合、戦闘にいたる危険を国会でただしたところ、政府は「海外派兵は自衛隊法の禁止しているところ」とする統一見解を示します。

 54年の自衛隊創設時には、海外派兵しないと決議していましたが、自衛隊海外派兵の議論が現実的に起こってくる中で、改めて自衛隊は海外に出ないことを確認したのです。

 80年には、政府答弁書で、海外派兵は「武力行使の目的で武装して部隊を他国の領土、領空、領海等に派遣すること」だとし、「このような海外派兵は、一般に自衛のための必要最小限度を超えるものであって、憲法上許されない」としました。「海外派兵は憲法違反」との立場がいっそう明確になったのです。

 また72年には集団的自衛権行使は憲法上許されないとする閣議決定も出されます。

 そこでは、9条のもとでも国の存立を全うするために必要な自衛の措置は認められるが、平和主義を原則とする憲法が、武力行使を無制限に認めているとは解されないとし、「わが国に対する急迫、不正の侵害に対処する場合に限られ、他国に加えられた武力攻撃を阻止する集団的自衛権の行使は、憲法上許されない」としたのです。

 9条とこれを守る国民のたたかいが、自衛隊の存在の下でも、海外での軍事行動を許さないという制約をつくったのです。(随時掲載)


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