2018年6月16日(土)
公序良俗違反のカジノ貸金
法務省が“お墨付き”
議連への回答文書判明
衆院法務委 藤野議員が追及
法務省が2011年5月、超党派の国会議員でつくるカジノ議連(国際観光産業振興議員連盟、会長・古賀一成民主党衆院議員=12年落選、引退)の照会に、カジノ事業者が客にたいして行う賭博資金貸し付けは、民法の公序良俗違反で無効となる賭博貸金には当たらないと回答していたことが分かりました。日本共産党の藤野保史議員が15日、衆院法務委員会で追及しました。
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カジノ議連は当時、東日本大震災の復興財源を口実にしたカジノ解禁構想を打ち出し、同年4月の法案の要綱となる「会長試案」をとりまとめ、関係省庁などとのすり合わせをしていました。
法務省は、藤野氏の要求を受け、当時、議連に提示した回答文書を開示しました。
それによると、議連側は、カジノ事業者による資金貸し付けを認めなければ「カジノはカジノとして機能しないし、(海外カジノ企業の)民間投資も実現しない」としたうえ、カジノの違法性が阻却(そきゃく=取り外すこと)された場合、公序良俗に違反することはないと判断できるかと問いただしています。
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法務省はこれに「賭博が一定の範囲で法令上正当な行為とされれば、…その目的のみから、公序良俗に反するために私法上無効であると判断されるとは考えにくい」と回答しています。
藤野氏は「賭博行為を助長する金銭の貸し付けは公序良俗に反して無効」という判例や、公営賭博やパチンコで現場での金銭貸し付けを認めている実例はないことを示し「ギャンブル依存症や多重債務に直結する賭博行為への貸し付けをなぜ認めるのか。法務省がそれに“お墨付き”を与えるのは重大だ」と追及しました。
上川陽子法相は「カジノの貸金が多重債務につながるというのは大事な視点だ」としながら、啓発活動を行うと答えるにとどまりました。
藤野氏は、在日米国商工会議所の意見書などを示し、カジノ事業者の貸金は「日本に乗り込もうとしている米カジノ業者の要求だ。こんなことは許されない」とのべました。