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2018年6月14日(木)

東電刑事裁判

防災会議報告、納得せず

被告弁護側専門家が証言

 東京電力福島第1原発事故で、業務上過失致死傷罪で強制起訴された東電旧経営陣3人の第16回公判が13日、東京地裁(永渕健一裁判長)でありました。被告弁護側の証人として、原発の審査などにも関わってきた首藤伸夫・東北大学名誉教授が証言しました。

 首藤氏は、津波工学の専門家で土木学会原子力土木委員会の津波評価部会主査を務め、電力会社の技術者らと「原子力発電所の津波評価技術」をまとめています。首藤氏は、2006年に発表された国の中央防災会議の「日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震に関する専門調査会報告」について「納得できない」と証言しました。

 同報告は、巨大津波を伴う地震が過去に起きていることなどから東北・北海道地方における地震防災対策を検討したものですが、02年7月に公表された政府機関の地震予測「長期評価」の見解を取り入れず、対策の検討対象から福島県沖の領域を外すなどしています。当時の防災会議の委員だった島崎邦彦・東京大学名誉教授が5月の公判で、「長期評価」の見解とは「まるっきり反対」の評価が「強引にされた」と批判していました。

 首藤氏は、それまで国などの津波評価が、過去の津波だけでなく、想定し得る最大規模の地震津波を比較検討することだったと説明。中央防災会議の報告は、過去の最大の津波だけを対象にしており「片方がすっぽり落ちたのは納得いかない」と証言しました。

 また、「福島第1原発事故は防げたか」と検察官役の指定弁護士から問われ、「やりようだと思う」と証言。電力会社から「こんなにお金がかかる、なぜ必要なのか」との意見に対し、「説得する技術を教えてほしい」などと述べました。

 次回の公判は15日で、別の証人が証言します。


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