2018年6月14日(木)
主張
初の米朝首脳会談
敵対から非核と平和へ転換を
米国のトランプ大統領と北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)国務委員長が会談し、新しい両国関係、朝鮮半島の永続的で安定した平和体制をめざすことで合意し、完全な非核化に向けた北朝鮮の強い誓約を再確認しました。米朝間には関係改善、北朝鮮の非核化をめざす合意が過去にもありましたが、いわゆる国のトップ同士の共同声明は初めてです。長年敵対し、昨年は核兵器を含む戦争も危惧された両国が、初の首脳会談を持ち、「朝鮮半島並びに世界の平和と繁栄に貢献」する関係をめざすと宣言したことは画期的です。非核化と平和体制構築に向けた歴史的なプロセスの開始です。
一体的・段階的に
共同声明でトランプ米大統領は、北朝鮮への「安全の保証の提供」を約束し、12日の記者会見では、米韓の軍事演習も米朝交渉の間は中止する意向も示しました。「敵視政策と安全保障上の脅威がなければ核保有の必要はない」としてきた北朝鮮に応じた表明です。米朝首脳は、1953年から休戦状態のままの朝鮮戦争を終わらせ、平和協定への転換をめざすとした4月の南北首脳会談「板門店宣言」の支持も表明しました。
こうしたプロセスは、一定の年月がかかるでしょう。しかし成功すれば、この地域の平和と安全をめぐる情勢を一変させ、世界史的な大転換を起こすことは確実です。米朝と韓国、中国、ロシア、日本は、6カ国協議の共同声明(2005年)で、「北東アジア地域の永続的な平和と安定のための共同の努力」を約束し、安全保障面の協力とその枠組み作りをめざすと合意しています。
相互不信と対立にあった米朝が非核化と平和体制の構築に取り組むには、信頼を醸成しながら段階的に進むことが不可欠です。両国が合意を速やかに具体化し、誠実、完全に履行するよう求めます。
米朝会談に至る平和外交をリードしてきた韓国の文在寅(ムンジェイン)大統領は12日の談話で、「戦争と対立の暗い時間を追いやり、平和と協力の新しい歴史を記す」「今回の(米朝)合意が完全に履行されるよう、米国と北朝鮮、国際社会と惜しみなく協力する」と表明しました。関係国、国際社会の側も、大きな展望に立った積極的な取り組みが期待されています。
日本政府は、日朝平壌宣言にもとづき、核・ミサイル、拉致、過去の清算など北朝鮮との間の諸懸案を包括的に解決し、国交正常化のための努力をはかり、始まった平和のプロセスを促進する役割を果たすべきです。拉致問題の解決も、この外交に位置づけてこそ前進するでしょう。
国民の世論と運動で
平和を求め、核兵器のない世界を求める国民の世論と運動は、いよいよ重要です。
南北、米朝と歴史的な首脳会談が続く中、戦争法や9条改憲の企て、核兵器禁止条約への不参加の口実とされてきた「北朝鮮脅威」論も、沖縄をはじめとした在日米軍基地の問題も、改めて問われています。北東アジアで起きつつある劇的な非核・平和の動きを確かなものにし、世界に広げる大きな取り組みを展開する時です。
日本共産党は、北朝鮮問題の「対話による平和的解決」を一貫して主張し、「北東アジア平和協力構想」を提唱してきた党として、引き続き奮闘します。