2018年6月10日(日)
G7開幕 貿易大きな溝
首脳宣言発表危ぶまれる
【ケベックシティー(カナダ東部)=遠藤誠二】主要7カ国(G7)首脳会議が8日、カナダ東部ケベック州のシャルルボワで開幕しました。米国による鉄鋼・アルミニウムの輸入制限措置をめぐり、米国と、カナダ・欧州諸国は激しく対立しました。同会議では、朝鮮半島の非核化を含む安全保障、環境・地球温暖化、性差別の根絶、貿易問題などの話し合いが行われますが、双方の対立は深く、首脳宣言の発表までが危ぶまれる状況となっています。
トランプ米大統領は8日、G7を前にして「われわれは不公平な貿易問題に取り組む。カナダやメキシコ、欧州連合(EU)すべてが長い期間、米国に対し行ってきたことをみれば、われわれは(状況を)変えなければならない」と発言。追加関税を取り消す考えのないことを改めて表明しました。
こうした「米国第一主義」に対して、参加各国は猛反発。カナダのフリーランド外相は8日の会見で「違法であり全く不当な関税適用」と断言しました。
EUのトゥスク大統領は「(G7は)ルールに基づいた国際秩序という点で問題を抱えている。秩序を傷つけることは全くナンセンスだとトランプ大統領に伝えることは止めない」と言い切りました。フランスのマクロン大統領も7日、「もし必要なら、われわれはG7が6カ国になっても構わない」と述べました。
トランプ氏はG7に「ロシアを復帰させることができる。彼らを交渉の席に着かせるべきだ」と主張。これに対してフリーランド外相は「ロシアは西側民主主義のルールに従うことに関心がない。こうしたロシアを復帰させる根拠はない」と指摘しました。